なにもない「埼玉」の強みは「なにもない」ところ?

埼玉の逆襲 (笑う地域活性化本)
『埼玉の逆襲 (笑う地域活性化本)』
谷村昌平
言視舎
1,512円(税込)
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 「ダサイタマ」と揶揄されることもある埼玉県。そんな埼玉のイメージを払拭させようと"逆襲"を試みたのは、書籍『埼玉の逆襲』の著者・谷村昌平氏。

 本書では、前半でこれまで東京に虐げられてきた歴史的背景を解説。そのマイナスイメージを巻き返すかのように後半では埼玉が誇る「日本一」やB級グルメ、有名人などを紹介しています。

 とはいえそのアピールも、同じ埼玉県人から見ても正直「そんなたいしたことじゃないよな...」ということばかり。なぜなら谷村氏いわく、「なにもないのが埼玉の特徴」と埼玉県民自身が自負しているからだそうです。

 ただその「なにもない」を真っ向から言えてしまうのが埼玉の強みだと谷村氏は指摘します。「ウチのほうがすごい!」と強情にならず、他県に拍手を送り、自らを「なにもない」とする謙虚さ。どの県の主張も公平に聞き分けるし、控え目な県に対しても気持ちを共有できる、まさにオールラウンダーな埼玉県人。

 そうした特徴に加え、情報過多な東京から少し離れた位置から見て養った客観性ある価値観。見渡す限り平野の風土が生んだ穏やかな気立て。じつは埼玉県民はものすごくバランスのよい、現代に求められるジェネラリストなのかもしれません。埼玉出身のプロゴルファー・石川遼君の持つバランス抜群の人間性も、「埼玉という土地柄が育んだようにも思えると」谷村氏は言及しています。

 東京都民である著者がここまで埼玉を褒めたたえるのも、ひとえに埼玉県民の"人の良さ"がなせるわざかも。きっと埼玉県民は「そんな褒められてもなぁ...」と謙虚に感じていると思いますが。

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