「どうして山伏に?」はNG、理由を聞いてはいけない山伏のルール

山伏と僕
『山伏と僕』
坂本 大三郎
リトル・モア
1,404円(税込)
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 山に登ってホラ貝を吹き滝に打たれる。そして、真っ白な衣装に身を包み、精進料理を食べる。あなたが描く「山伏」のイメージは、このような感じでしょうか。

 山や木、岩、滝などの自然を昔から敬ってきた日本の「原始信仰」に、その後日本に伝わった仏教や神道、陰陽道などが合わさってできたのが、山伏の文化や修験道です。そんな山伏の世界に、30歳になって突然入っていったのが、書籍『山伏と僕』の著者・坂本大三郎氏。

 坂本氏は、「山伏は職業なのか?」といった質問をよく受けるそうです。実際には、お寺でお坊さんをしている人を除いて、ほとんどの人が他に仕事を持っており、普通に生活を送っています。坂本氏自身も絵を描いて生計を立てており、修行がある時にだけ千葉から山形・羽黒に向かうといったスタイルです。坂本氏のまわりには、会社経営者、学校の先生、格闘家、学者など様々な仕事につく山伏がいるようです。

 坂本氏はなぜ、突然山伏になったのでしょうか。また、他の人たちはどのようなきっかけで、山伏を志したのでしょうか。とても気になるところですが、山伏には独特なルールがあります。その昔、「どうして山伏になったのですか」という質問はタブーとされていたのです。

 「山伏の世界には、いろいろな事情を抱えた人がいるからです。中には罪を犯して、その償いのために山で修行をしている人もいます」(坂本氏)

 そんなこともあってか、一度山に入ったら上下関係はなく皆が同じ仲間、といったルールもあるそうです。

 「山は権力の及ばない他界と考えられ、山伏は自分の葬式をあげ、自分を死者と考えて山に入るので、俗世界のおこないは問題にされないのです」(坂本氏)

 山伏が白装束なのは、こういった理由からきているのです。

 調べてみると奥の深い「山伏」という文化。書籍『山伏と僕』では、山伏の歴史をはじめ、変わった特別ルールを坂本氏が独自に解釈し紹介しています。なかなか馴染みのない「山伏」の世界を少し覗いてみませんか?

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