発達障害をかかえるカンタが"親友のため"に生きる、現代版『走れメロス』
- 『カンタ』
- 石田 衣良
- 文藝春秋
- 1,697円(税込)
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「池袋ウエストゲートパーク」での、第36回オール讀物推理小説新人賞受賞を皮切りに、『4TEEN』で第129回直木賞受賞、『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞受賞と、様々な賞を獲得した石田衣良氏。最近では、作家業だけではなく、クイズプレゼンバラエティー『Qさま!!』に出演するなど、多方面で活躍しています。
また、escala caféが、22~34歳の働く女性会員に、「一番、人生相談をしてみたい作家」は誰かとアンケートを実施したところ、東野圭吾氏・江國香織氏をおさえて、第1位に選ばれたのが石田氏でした(有効回答数316件・2011年6月にWebアンケート)。若者の気持ちを汲み取る作品や、時事・社会問題をテーマにした作品が多く、時代にマッチしたアドバイスをくれるというイメージがあるのでしょう。
そんな石田氏の最新作『カンタ』は、発達障害をかかえるカンタを丁寧に描いており、現代版『走れメロス』ともいえる作品です。幼馴染で家族・兄弟のように育ったカンタと耀司は親友同士。お互い母子家庭に育ちで、固い絆で結ばれた2人は、無料ゲーム運営会社「ロケットパーク」を立ち上げました。まるでロケットのように同社は急成長していきますが、思わぬ罠にはまってしまい、命を狙われるようになってしまいます。「いまこそ亡き母との約束を守るとき」と、耀司を守るため、カンタはある決意のもと沖縄に向かうのでした。
今回、石田氏が描くのは、男同士の"友情"。友のために一生懸命になるカンタの姿に、石田氏が込めた思いとは。ぜひ手に取って確認していただきたい一冊です。