2011年度「このミス」大賞は、現役弁護士の書いたハードボイルド作品に
- 大賞作『懲戒弁護士』は来年1月に刊行予定
第10回「このミステリーがすごい!」大賞の受賞作が4日に発表され、394の応募作の中から、大賞には法坂一広氏の『懲戒弁護士』が選ばれました。
この賞は、ミステリー小説のランキング本『このミステリーがすごい!』(別冊宝島)から生まれた、新人作家発掘、育成を目的とするもので、大賞賞金は1200万円。過去の受賞作には、『チーム・バチスタの栄光』(海堂尊著)や『四日間の奇蹟』(浅倉卓弥著)などもあり、次世代の優れたエンターテインメント作家の登竜門として、広く知られる存在となっています。
10回目となる今年の大賞作の作者・法坂一広氏は、現役弁護士。裁判で扱った過去の事件に再び挑む酔いどれ弁護士を主役に、弁護士のリアルな日常を骨太な筆致でハードボイルドタッチな作品に仕上げました。
「新人私立探偵のデビュー戦としては上々の仕上がり。なにより、この主人公が活躍する話をもっと読みたいという気にさせてくる」(大森望氏)、「主人公の一人称ハードボイルド語りはこなれていて、これが初めての小説とはとても思えない」(香山二三郎氏)など選者である書評家から、高く評価されての受賞です。
法坂氏は今回の受賞を「ビギナーズラック」と評しつつも、「今後は『司法の闇』により深くエンターテインメントのメスを入れていくことが私に課せられた使命であり、それを期待されての受賞だと十分思い知っております」と抱負を述べています。
優秀賞以下は下記の通り。大賞作の来年1月刊行を皮切りに、順次出版される予定です。
【優秀賞】『僕はお父さんを訴えます』友井羊
【隠し玉】『また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を(仮)』岡崎琢磨
『Sのための覚え書き かごめ荘事件のこと(仮)』矢樹純