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【恋と三色ボールペン】【アノヒトの読書遍歴】たかのてるこさん(後編)

たかのてるこさん

恋と三色ボールペン

 小心者だけど破壊力抜群。旅人でエッセイストのたかのてるこさんが、初めて"旅"を意識したのは高校生の頃。きっかけは香港のアクション映画だった。

 「ジャッキー・チェンとかが大好きだったので、香港に行ってジャッキーがスーハーしてるのと同じ空気を吸いたい!って。いや......本当はジャッキーというよりユン・ピョウなんですけど。ユン・ピョウ、知らない人が多いかなと思って」
 
 なぜか遠慮気味に始まった後編最初は、ユン・ピョウを巡る映画と本の思い出。とにかくユン・ピョウに恋しまくっていた高校時代のたかのさん、やはり写真集にも手を伸ばしていたようだ。

 「ユン・ピョウの写真集では本当にすごい散財しましたね。でも、それがきっかけで本人に会うことができたんです」
  
 映画スターと女子高生を結びつけた一冊の写真集。なんだか胸キュンな話になりそうだが。

 「美術の授業で何を描いてもいいというので、写真集に載っていたユン・ピョウのヌードを描いたんです。油絵で。で、その絵を描き上げた次の日に丁度、『おはよう朝日です』(関西ローカルの朝の長寿番組)で"明日はユン・ピョウさんがゲストです"って告知があったんです。"ユン・ピョウ来んねやー!"って(笑)。それで、番組に電話をかけてユン・ピョウさんにどうしても絵を渡したいとお願いしたらOKが出まして」
 
 ツーショット写真の撮影に、ハグまでしてもらったそう。ちなみに一番よかったユン・ピョウの写真集をうかがうと、

 「芳賀書店から出ていたものですね。質問コーナーでユン・ピョウがいろんな質問に答えてるんですが、"日本のどこが好きですか"という質問に対して"日本が大好きだよ。だって、日本の女の子たちはとっても親切でかわいいんだもん!"って答えてたんです。もう自分のこと言われたみたいに嬉しくて(笑)。だから、ユン・ピョウが結婚してるって知った時、本当にショックでしたね。『彼が奥さんとエッチしたなんて信じられない!』なんて、日記に書いてたくらいでしたから(笑)。もうツッコミどころ満載の日記で、久しぶりに読み返して、ユン・ピョウも人の子なんだから、奥さんとのHくらい好きにさせてやれよ!って自分にツッコんじゃいました(笑)」(※このエピソード、詳しくはたかのさんの著書『淀川でバタフライ』にて)
 
 しかし、「ジャッキーが動なら、ユン・ピョウは静」とたかのさんが評する通り、派手さが足りなかったせいなのか日本では大ブレイクに至らず、徐々にユン・ピョウの映画は日本で公開されなくなっていったそう。

 「そんなとき、『プロジェクトA2』っていう映画が日本で公開されると聞いて小躍りしたんです。『プロジェクトA』でユン・ピョウは準主役だったし、A2のポスターにもユン・ピョウって書いてあったんで"わ〜!久しぶりだ♡"って映画館に行ったら、待てど暮らせどユン・ピョウが出てこないんです。最後、映画館を出てもう一回ポスターを見たら"タン・ピョウ"って書いてあって。あまりにユン・ピョウを想いすぎて、"タ"が"ユ"に見えてしまったんですね(苦笑)」
 
 ちなみにタン・ピョウとは、香港で活躍していたバイプレーヤーだそうで、ちんちくりんなヒゲのおっちゃんらしい......。でも、そんな甘酸っぱい思い出や酸っぱい思い出に一瞬にして帰らせてくれるのが、たかのさんにとっての本や写真集。

 「自分で書いた書き込みや、ユン・ピョウに書いてもらったサインや写真とかを一緒に貼付けてあるので、写真集を開くと当時の熱い気持ちがレンジでチーンと解凍されたみたいに蘇ってくるんです。映画のDVDを再生してもそういう気持ちにはならないから、それが本の素敵なところですよね」
 
 聞けばたかのさん、読書の時には必ず三色ボールペンを用意して気になった部分に書き込みをしながら読んでいくのだそうだ。

 「人様のエッセーを読むのが好きなんですけど、好きなところに線を引いて♡を付けて"わかるわかるぅ〜!"って書いたりとか。よしもとばななさんは今ではお友達になることができたんですが、もとは高校の頃からの大ファンで、例によってたくさん書き込みしながら読んでたんです。で、いつも書き込みをしながら話しかけてたから、初めてお会いした時に親しみを持ちすぎてる人みたいになってしまったんですけど(笑)」
 
 ユン・ピョウといいよしもとばななさんといい、たかのさんは本さえも人とも出合いのきっかけにしてしまうすごい技を持っているのだなぁとつくづく思った。で、友だちとなった今も大ファンで、全作品読んでいるというよしもとばななさんの作品のなかでも、思い入れのあるのが『デッドエンドの思い出』。

 「ラオス人の猿顔の兄ちゃんと恋に落ちまして、そのお兄ちゃんを持ち帰ろうと思って持ち帰り損ねたことがあったんです(※ラオスでの恋の話、詳しくはたかのさんの著書『モンキームーンの輝く夜に』にて!)。で、『デッドエンドの思い出』の中に男と別れる話が出てくるんですが、当時ちょうどドンピシャだったから、ズキュンときましたね。恋してよかったとつくづく思ったし、すごく救われました」
 
 う〜ん、甘酸っぱい。
 
 そんなわけで、高校生のみなさん!が、もしこの記事を読んでたら! ぜひ三色ボールペンを使いながら本を読んだりしてみてください。きっと大人になった時、大事なものが解凍されるはず、です。


※本インタビューの一部は『J-WAVE BOOK BAR』(2011年6月11日 23:00~オンエア)にて放送されます。

(プロフィール)
たかのてるこ
旅人、エッセイスト。1971年、大阪生まれ。これまで旅した国は30数ヶ国。映画会社勤務の傍ら、プライベートで旅した映像をテレビ局に売り込み、本人が旅人と制作を兼任した旅番組「銀座OL世界をゆく!」シリーズなどでも知られる。デビュー作は長澤まさみ主演でドラマ化もされた『ガンジス河でバタフライ』。著書に『モロッコで断食』『モンキームーンの輝く夜に』『キューバでアミーゴ』など。最新作はルーマニアを旅の舞台とした『ジプシーにようこそ!』 
たかのてるこHP http://takanoteruko.com/

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