ネタ劇場

80年代映画キャラ特集

 80年代の映画を振り返ると作品名よりも、登場する「キャラクター」が先に浮かんでしまう方も多いのではないでしょうか。
 実際、作中に登場するモンスターやキャラが出演俳優よりも目立ち始めたのは、80年代のSFX(特殊効果・特撮)とVFX(視覚効果)技術の進化が影響しています。

 『猿の惑星』(1968)以降、特殊メイク技術は大きく進展し、今年の7月に亡くなった特殊メイク界の偉人ディック・スミスが発案した液状のゴムを固める革命的手法で激変。特に80年代は空前のホラーブームでトム・サヴィーニなどのアーティストが監督以上に注目され、VFX面でも一部で(初歩的な)CGIが使用され始めます。さらに電子操作のアニマトロニクスの発展も追い風となり、現実では観たことがないリアルなモンスターや殺人鬼たちがスクリーンの中に次々と登場したのでした。

 そこで「80年代映画キャラ特集」と題して、80年代に生まれた5つの人気(?)キャラをピックアップ。リアルタイムな世代にも、聞いたことはあるけど観たことがない世代にも、今時のフルCGIでは再現出来ないヌクモリ溢れるアナログなキャラクターたちをご紹介します。しかも5本中4本でリブート計画進行中!
(文/シングウヤスアキ)

スプラッターホラーのテンプレ王「ジェイソン」先生は実は苦労人? 『13日の金曜日』(1980)

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 死んだ筈のアイツが、実は生きてて、殺人鬼で……みたいなスプラッターホラーの鉄板テンプレシリアルキラーといえばご存知「ジェイソン・ボーヒーズ」。

 そんなジェイソン先生、実は本格デビューは2作目(1981)で、お馴染みのホッケーマスクは3作目から(2作目は穴のあいたズタ袋!)。マスクなどの設定は先にヒットした『ハロウィン』のマイケル・マイヤーズの影響を受けており、プロレス風にいえば、キャラに迷いのある二番煎じレスラー状態でした。

 しかし、5作目辺りから製作サイドもヤケになって来たのかオリジナリティという名の悪乗りが加速し、正史としては最後の8作目に至るまでに人ならざる者に変貌。内容はともあれスプラッター界のスーパースターになっています。

 9作目で寄生生物に、10作目では未来世界で戦闘サイボーグになり、さらに同期のライバルといえるフレディ・クルーガーと対決するなど全力で迷走したのち、2009年にマイケル・ベイ製作のリブートで軌道修正していますが、何と再度仕切り直しのリブート予定(2015年11月)。

 悪い予感しかしませんが、実は苦労人なジェイソン先生の今後にご期待ください。

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80年代アニマトロニクスの賜物! 愛おしくなるシワシワ宇宙人 『E.T.』(1982)

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 S・スピルバーグ監督の『E.T.』といえば、日本においても当時、観たことがない方が珍しいくらいのヒット作品なので、リアルタイム世代は懐かしさで脳のシワが伸びて活性化しちゃうんじゃないでしょうか。
 今観るとさすがに粗が見えるものの、当時の技術の粋を尽くしたアニマトロニクスによって「E.T.」の表情や手の指がウネウネと動く様は、映像の魔術と称えられました。

 老人のようなうつろな目やシワシワの皮膚、胴長超短足の容姿など、嫌悪感すら覚える最初の不気味な印象から徐々に愛おしくなり、クライマックスシーンの感動もひとしおに。

 フルCGIでは出せない味のある動きが楽しめますが、人によっては懐かしさ以上に「何でこんな大人になっちゃんだろう」的精神ダメージを受ける可能性がある作品なのでご注意を!

関連:プロレスコラムでの紹介記事はこちらです。

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可愛い「ギズモ」からキモい奴らがモコモコ爆誕! モルスァー! 『グレムリン』(1984)

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 これまたスピルバーグが製作総指揮で参加しているSFコメディ『グレムリン』は、謎生物モグワイを飼うことになるイケメン青年の不手際により、街が壊滅寸前にまで追い込まれる、はた迷惑にも程があるお話。

 作品の顔となるモグワイ「ギズモ」は、ブサカワな小型犬パグ系の可愛さ。若干ボヘミアンなしゃがれ声ですけどね。
 水をかけたり飲ませると背中から分身がモコモコと増殖し、さらに真夜中に食事を与えると「グレムリン」という醜悪で凶暴な生物に変身。しかし、それぞれがまったく違う性格なので何だか憎めないんです。

 90年には続編『グレムリン2 新・種・誕・生』も製作されましたが、近年になってリブート企画が本格化。どうやら1作目の30年後が舞台という続編になるらしいですよ。

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カルト映画界のZ級アイドルヒーロー「毒々モンスター」 『悪魔の毒々モンスター』(1984)

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 カルト界隈の大物「トロマ社」のロイド・カウフマンが生み出したのが、発がん性物質たっぷりの廃棄物漬けになった(最高にキモい)もやしっ子メルヴィンの成れの果て「毒々モンスター」。
 日本では「毒々」の愛称で親しまれ、顔とお肌はデロデロだけど、悪党を嗅ぎ付ける特殊能力で街を浄化する、見た目も言動もバイオレントなヒーローです。

 キャラとしてはスパイダーマン系の突然変異ヒーローそのものですが、元のメルヴィンの性格を引き継ぎ、性欲は無駄に旺盛。清掃員時代に使うことが多かったモップがトレードマークになっています。

 続編で何故か東京に住む生き別れの父(ホタテマンなあの人)に会いに行ったり、カブキマンとかいう毒々以上にヤバイ相棒が登場するなど、徹頭徹尾テキトーなトロマ・クオリティにより計4作全てがポンコツかつトンデモな出来栄えに。

 昨年突如として第1作の無修正完全版がリリースされましたが、実はこちらもまさかのリブート計画が進行中で、何とシュワちゃんもプロデューサーとして興味を持っているんだとか。オリジナルを超えるテキトーなリブートを期待したいですね。

関連:プロレスコラムでの紹介記事はこちらです。

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脇役から顔役に。トゲトゲマス目SMおじさん「ピンヘッド」 『ヘル・レイザー』(1987)

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 イギリスのホラー作家・映画監督であるクライヴ・バーカー原作の猟奇ファンタジーホラーで、謎の小箱のパズルを解くと究極の性的官能が体験出来るとかいいつつ、地獄から顔色の悪い魔導士がお命頂戴しに来る、浦島太郎も真っ青な物語。

 その魔導士のひとりが「ピンヘッド」であり、顔面にマス目状の切れ目と無数の針(ピン)を埋め込んだボンデージSMおじさんといった風貌のインパクトが受け、続編の度に死んでは復活するなど、シリーズの顔役に昇格します。

 作品自体は陽性のアメリカ製ホラーとは違うバーカー先生の作家性が強く出たアーティスティックな特殊メイクやゴア演出が人気でしたが、先生の手を離れてからの特に4~9作目まで全て黒歴史といっても過言ではない状態に。

 それを見かねたのか、原作者バーカー先生自身によるリブート計画が進んでおり、恐怖のSMおじさん……もとい、魔導士ピンヘッドの復活が待たれます。

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