ネタ劇場

80年代ヒット作の"黒歴史な続編"特集!

 80年代にヒットした作品にはすべからく続編が存在します。パッと浮かぶだけでも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなハリウッド娯楽超大作や、『マッドマックス』『ターミネーター』といった低予算界隈から大出世した作品の続編がこぞって製作されました。  また、『当時、スター街道を駆け登るエディ・マーフィの『ビバリーヒルズ・コップ』やジャッキー先生の『ポリス・ストーリー 香港国際警察』、さらには『ポリスアカデミー』といった警察コメディモノもやけにウケた時代で、これらの続編が量産されやすい時代だったように思います。  家庭用ビデオ再生機の普及も重なり、80年代ヒット作の続編は90年代以降にも作られ、長期化するシリーズも少なくありませんでした。しかし、流行りを意識しただけの安易な続編、あるいは諦めの悪い製作サイドが無駄に続編を重ねたり、新機軸を採り入れてシリーズにトドメを刺したりなどなど、"黒歴史な続編"も多く存在します。  そんなワケで、80年代ヒット作の"黒歴史な続編"特集として、5本の問題作をご紹介!  黒歴史判定が難しい珍作もありますが、概ねシリーズ比での興収(ソフト販売やレンタル売上は含まず)の大きな落ち込みと評価の悪さを基準に選出。勿論、内容基準で黒歴史に感じるのかは個人差がありますので、あとは実際にその眼で(覚悟して)ご確認ください!(文/シングウヤスアキ)

世紀の美少年をキズ物にした許されざる凡作ホラー。『ペット・セメタリー2』(1992)

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 日本での1作目(1989)の認知度は「S・キング原作のホラー映画」程度のようですが、実は今回紹介する作品群の1作目としては、Box Office Mojo(興収集積サイト)による興収額中、最も高い5740万ドルのヒット作。
 そのヒットを受け、当時『ターミネーター2』のジョン・コナー役で世紀の美少年と騒がれたエドワード・ファーロングを主人公に起用して続編が製作されました。

 しかし、前作で自ら脚本を担当したキング先生が手を引いたせいか、田舎街の怖さや人間の狂気を淡々と描く「キング作品」らしさは消失。前作で腹筋を程良く刺激してくれたリアル『チャイルド・プレイ』なシュール幼児ホラー要素も、取って代わった亜流ジェイソン系の展開が幅を利かせ、只々凡庸なホラー映画にトーンダウン。

 低予算のため前作の1/3の興収でも赤字は回避するも、批評家からの酷評の嵐により、のちに転落人生を送ることになるファーロング少年にとって、最初の黒歴史となってしまったのかもしれません。

関連:プロレスコラムでの紹介記事はこちら。

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空を飛べるようになったのに売上が地に堕ちたロボコップの黒歴史! 『ロボコップ3』(1993)

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 鬼才ポール・ヴァーホーヴェン監督の1作目(1987)が近未来SFとして異例のヒットを記録。続く第2作(1990)は後年『シン・シティ』を発表するフランク・ミラーの脚本により、大人向けのダークなアメコミヒーローモノに様変わりし、ロボコップ人気を決定づけることに。

 賛否両論だった2作目におけるマンガ的味付けをひたすら尖らせたのが件の第3作。
 当時、財政難にあったスタジオ側がキッズ向け商品展開を当て込み、視聴制限を前2作のR指定からPG-13指定(12歳以下保護者同伴)に下げたことに加え、ホラー映画界隈で知る人ぞ知るフレッド・デッカー監督の悪乗りにより(前作脚本のF・ミラーも共同脚本)、オムニ社は地上げ屋と化し、親会社となった日本企業からは「オオトモ」なる忍者アンドロイドが送り込まれ、ロボコップが空を飛ぶというダメ押しにより疑いようのないお子ちゃまヒーロー映画に変貌!

 人によっては前作『2』を酷評する向きもあり黒歴史判定が難しいところですが、筆者としてはアイロニーが活きていたシナリオや、ストップモーションにこだわった「ロボコップ2号」の『2』に愛を感じるせいか、日和った設定や雑なSFXに終始した『3』の方を黒歴史として推したい所存。PG-13指定を強いられたとはいえ、ホラー映画出身のくせにゴア表現が一番マイルドってどういうことやねん!
 あと『2』のハーレーに乗るロボコップに対する、『3』のポン引き御用達のキャデラックに乗るロボコップのオマージュは、正直スベってると思います。

 前作より予算が減ったとはいえ、1作目の1/5、2作目の1/4弱の興収に留まったという事実からしても『3』が黒歴史という事実は揺るがないのである!

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現実世界に登場しちゃった本の世界の住人たちの哀愁を刮目せよ! 『ネバーエンディング・ストーリー3』(1994)

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 児童文学「はてしない物語」を映像化した冒険ファンタジーとして今も愛好者が多いのが第1作(1984)。1作目を巡って(結末の改悪などに対する)訴訟を起こした原作者ミヒャエル・エンデからも「原作の精神性に最も近い」という評価を得ることになる2作目は1990年に公開されています。

 これで製作陣が調子こいたのか、94年に問題の第3作が誕生。しかし、原作ネタは前2作で大体使ってしまったため、父親が再婚して義理の妹ができるわ、本の世界の主人公アトレイユは出てこないわ、「本」がワルガキ(新人時代のジャック・ブラック!)に奪われて本の世界「ファンタージェン」が崩壊寸前になるわと、ほぼオリジナル展開に。

 しかも低予算故に本の世界の住人たちを現実世界に登場させる荒業を用いており、その「やっちまった感」は幻想的だった1作目に比べると救い難いシロモノ。植木としてバスチアンのもとに届けられる木人さんの哀愁といったらもう……。

 珠玉のファンタジーをきぐるみ特撮コメディに貶めた本作は、黒歴史続編の中でも罪深い作品です。

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「誰も望まぬ続編」という哀しき宿命を背負った黒歴史続編界の逸材 『メジャーリーグ3』(1998)

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 第1作(1989)が「万年最下位チームがリーグ優勝まで駆け上がる下克上野球コメディ」としてヒットするも、悪乗りし過ぎて2作目で失速。なのに誰も望まぬ3作目を作っちゃった悪例。

 シリーズの顔役、チャーリー・シーンとトム・べレンジャーは不在で、第2作から引き続き登場するのが日本人選手「タカ・タナカ」(とんねるずの石橋貴明)と、全作出演で皆勤賞のオモシロ黒人「ペドロ・セラノ」(のちの『24』パーマー大統領役のデニス・ヘイスバート)。それと名物実況アナのオッチャンのみ。
 コメディ寄りのメンバーだけ残した辺りは『ポリスアカデミー』劣化(続編)パターンですね。

 舞台を「マイナーリーグ」に変え、主人公を監督に置き換えたセルフパロディといえる内容で、演じる俳優もことごとく無名と、何から何までマイナー感を強調したら見事に大コケ。
 原題に「3」と入ってないのでスピンオフと認識した方が良さそうですが、シリーズ最大の劇場数のくせに1作目の興収の1/14という大爆死っぷりからして望まれていなかったことは明白です!

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外伝として観れば悪くないけど、黒歴史であることは拭えぬ真性怪作 『ジェイソンX 13日の金曜日』(2001)

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 殺人鬼「ジェイソン」でお馴染みの『13日の金曜日』第10作目にして、シリーズ最低興収に終わったのが本作。
 ニュー・ライン・シネマ社がパラマウント社から権利を買い取ったものの、本命企画『フレディvsジェイソン』の製作が7年も難航し泥沼に。この際『13金』で今までにないモノを! という思惑から、南極のジェイソンやらアフリカのジェイソンといったゴミのようなアイデアが没になった末に辿り着いたのが「宇宙」のジェイソン。

 酷評された9作目のあとのせいか「こうするしかなかったんや」的開き直りで、未来の宇宙を舞台にジェイソンがハッチャケまくります。
 舞台設定や女サイボーグとの激突という新機軸だけでなく、シリーズへのオマージュや、ジェイソンがメカ化して再び無敵の存在に戻るなどスジを通したことで「これはこれでアリ」な作品に(『ロボコップ』と違って元がメチャクチャですからね)。

 一応赤字自体は回避しており「外伝」として観れば悪くない気がする作品ですが、後年完成した『フレディvsジェイソン』では(パラレル世界ながら)従来イメージのジェイソンに回帰。さらにシリーズ最大ヒットとなった2006年のリブートでの完全軌道修正により、本作の“黒歴史感”は拭えぬものに。2015年の再リブートを控えている今こそ、シリーズ最高の黒歴史続編として愛でてやるのがせめてもの供養かもしれません。

関連:プロレスコラムでの紹介記事はこちら。

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