「先生はえらい!」と思える映画三選
縛りは無用、心のロープを解いてくれる先生『いまを生きる』
1959年の秋、アメリカはバーモント州の名門校ウェルトン・アカデミーに赴任してきたジョン・キーティング(ロビン・ウィリアムス)。全寮制の厳しい生活を送るなかで、抑圧された学園生活に馴れきった生徒たち。そんな彼らに対し、キーティングが最初の授業で行ったこと。それは詩人たちの作品を採点し、順位付けするような教科書を破らせることでした。自由に表現すること、自分自身に正直に生きることを、詩を通して教えていくキーティング。作中で起きる悲しい事件を乗り越え、教えを受け継いだ生徒たちがラストシーンで見せる勇姿には、胸に込み上げるものを隠しきれません。
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部活動を超え、人生のコーチングをしてくれる先生『コーチ・カーター』
アメリカ随一の治安の悪さを誇る街、カリフォルニア州リッチモンド。そんな街にあるリッチモンド高校のバスケットボールチーム「オイラーズ」のコーチになったケン・カーター(サミュエル・L・ジャクソン)。昨年の戦績はボロボロ。練習もろくにしない不良の吹き溜まりのようなチームを変えるべく、カーターは生徒たちといくつかの契約を結びます。それは「学業で決められた点数以上の成績を残すこと」「授業には必ず出席し、一番前の席で受けること」「試合の前後にはタイを結んで正装をすること」など、バスケの技術以前の勉学への姿勢、人としての規律を生徒に叩き込んでいくものでした。反発しながらも徐々に変化していく生徒たちと共に、観ている人自身も、カーターのコーチングに成長の種を貰えるはずです。
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悲しみを、共感の下地にしてくれた先生『フリーダム・ライターズ』
1994年、新米英語教師のエリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)は、ロサンゼルス郊外にあるウィルソン高校でクラスを受け持つことに。ですが熱意溢れるエリンを待っていたのは、黒人/アジア人/ヒスパニックと、クラスを領土のように区分けして生徒同士がいがみ合う、人種差別むき出しの教室の光景でした。白人である自分に対して敵意をぶつけてくる生徒たちに対し、エリンは「考えていることや思うことを書いてほしい」と全員に日記帳を買い与えます。エリンの献身的な姿勢もあり、自らのつらい過去や未来に対する希望のなさを、生身の言葉で綴る生徒たち。それまでの悲しい境遇を下地にして、クラスに蔓延した差別が消えて行く様は、本当に爽快で感動的です。ちなみに、上記した『コーチ・カーター』と本作は、それぞれ実在のモデルが存在する伝記作品でもあります。
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