連載
怪獣酋長・天野ミチヒロの「幻の映画を観た!怪獣怪人大集合」

第40回 『セックス・ウォーズ』

『セックス・ウォーズ』
原題『SEX WARS』
1985年・アメリカ・60分
監督/ボブ・ヴォシー
脚本/アーサー・キング
出演/ポール・トーマス、ロビン・ケーンズ、ラリー・スミスほか

『スター・ウォーズ フォースの覚醒』が間もなく公開される。こういったメジャー作品にはパロディやパクリ作品が粗製乱造されることは、以前コラムの第5回『ハイパー・ウォーズ 帝国の逆上』で取り上げた。そこで今回は、パクリにエロが付加された18禁のパロディ映画を紹介したい。

 そのほとんどはウケ狙いだ。シンプルなものから挙げると『パイパニック』『エロチック・パーク』『エロム街の悪夢』『ファック・トゥ・ザ・フューチャー』『SEX-MEN』『ハメンジャーズ』。ちょっと凝ったものになると『フェラスト・ガンプ 一股一毛』『ハリー・ホッターとスケベな椅子』『ヌード・オブ・ザ・リング 王の股間』......上手いなあ。そして思わず吹き出す『ドバットマン』『アーンイヤーンマン』『床ジョーズ』『セックス・アンタ・ト・シテェ』『ロビン・フットい(太い)』『デソウ(出そう)』(笑)。

 さて『シターイ・ウォーズ 新たなる恥棒』という作品はDVD化されているので探せば視聴可能。そこで今回はビデオ時代で絶滅したコッチを紹介しよう。ビデオジャケットに堂々「スター・ウォーズのパロディ版」と明記してあるこの作品、背表紙には『セックス・ウォーズ SFseX宇宙大戦争』と書いてある。つまり「SF」と「SEX」と「SFX(特殊撮影)」を掛けたのだが(言わなくてもわかる?)、正式なタイトルはどっちなんだ! と怒りながら(怒ることもあるまいが)再生スタート。蛇足だが『SF・SEX 異星人のえじき』(75年・フランス、ベルギー。監督ジェス・フランコ)なんてのもある。

 安っぽい電子音楽によるスター・ウォーズ風マーチが流れ、「1万年前の宇宙戦争で惑星タイロスの生物は絶滅した。だが、この星域を通る宇宙船が次々と消息を絶った。銀河連盟は事件の調査に乗り出し巡洋艦をタイロスに送ったが、それも姿を消した」というナレーションが入る。文字が流れていくアレは、面倒なので無しみたいだ。

「銀河一のパイロット」と呼ばれるブリンカーとマークは、ミレニアム・ファルコンとスター・デストロイヤーのプラモデルを半分ずつ使って組み立てたような宇宙船で、木星にある行きつけの飲み屋へ行く。様々な星の宇宙人が飲んで騒いでいるお馴染みの酒場シーンだが、本家と違うのはステージ上でホンバンが行われていることだ(苦笑)。そこへフランスの王女レーミ(何々星の王女、じゃないんだ)が、タイロス星域で行方不明になった姉のオルガスマを探すクルーを募集しにくる。高額ギャラを提示されたが、危険な任務を断る2人。レーミ姫は諦めたふりをして2人を宇宙船に誘い、高級酒で酔わせて3Pもサービス。2人が気付いた時には、すでに宇宙船はタイロス圏内に入っていた。

 タイロス星に到着し3人が地表に降りると、R2-D2チックなロボットが出迎える。マークが名前を尋ねると「フォー・キュー(4-Q)」と答える。マーク「ホーケイ(包茎)?」。ここ原語では「ファック・ユー」と言っている。どんな和訳だ(笑)。4-Qに導かれた部屋には、スキンヘッドで金色の肌をした手足のないダルマみたいな男がいた。バルタザールと名乗る男はタイロス星の生き残りらしく、謎のフォースで王に君臨していた。

 バルタザールは彼らに儀式を見せる。行方不明の姉が乗っていた宇宙船のジョーンズ司令官が、「オーラル攻撃開始!」とボンテージ姿の3人娘にオモチャにされる。自分に逆らった司令官を疲弊させるという体罰らしいが、御褒美にしか見えない。儀式が終わり、「私の奴隷となるな、ジョーンズ君」。「はい、閣下」って、そりゃなるは(笑)。

 さて、レーミ姫は姉と再会する。姉いわく「バルタザールの脳はすごく進化しているけど、色キチガイで一種の変態ね」。ブリンカー「1日中チンポをいじってないと欲求不満になるのか」。バルタザールは性欲をエネルギー装置で増幅させてフォースに変えているのだ。それを知った彼らは、まずバルタザールの前で姉妹がレスビアンショーをして油断させる。その隙にブリンカーとマークがエネルギー装置と思しき場所(単なる配電盤にしか見えない)を突き止め、回路配線を切断する。するとエネルギーを遮断されたバルタザールが「死んじゃうよ~」と泣きべそをかいて(汗)衰弱していく。見事3人は姉とジョーンズ司令官の救出に成功し、帰りの宇宙船の中では全員で性交してハッピーエンド。

 オマケ。日本にもこんなAVが。『前戯なき戦い』『オ×コはつらいよ 葛飾区編』『BINBIN忍者ハメ撮りくん』『風の谷でナニシタ』『マゾの宅急便』『しものけ姫』『股の下のポニョ』......もう、いいって?

(文/天野ミチヒロ)

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天野ミチヒロ

1960年東京出身。UMA(未確認生物)研究家。キングギドラやガラモンなどをこよなく愛す昭和怪獣マニア。趣味は、怪獣フィギュアと絶滅映像作品の収集。総合格闘技道場「ファイトネス」所属。著書に『放送禁止映像大全』(文春文庫)、『未確認生物学!』(メディアファクトリー)、『本当にいる世界の未知生物(UMA)案内』(笠倉出版)など。
世界の不思議やびっくりニュースを配信するWEBサイト『TOCANA(トカナ)』で封印映画コラムを連載中!

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