なぜ酸性土壌はダメなの? 土作りに石灰を入れる理由

土の中でゆっくり溶ける粒状の石灰。撮影:渡辺七奈
土作り用の資材にはそれぞれに役割があります。野菜作りで使われる石灰は、正しくは「石灰肥料」といいます。アルカリ性の資材で、野菜の多くが育ちにくい酸性土壌を中和します。酸性だとなぜ野菜によくないのでしょうか。元明治大学黒川農場特任教授で農学博士の藤原俊六郎(ふじわら・しゅんろくろう)さんに教えてもらいました。

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■酸性土壌だとなぜダメなの?

野菜は土中の成分を吸収して育ちますが、土の酸度は、肥料成分の土の中での溶け方に影響します。
例えば、pHが4.0以下と酸性に傾くと、土の中にもともとあるアルミニウムが多く溶け出し、野菜の生育にとって毒に。アルカリ性に傾くのも問題で、pHが7.5以上になると、微量要素の一部が土中で溶けにくくなり、植物はそれを吸収できずに生理障害を起こすことがあります。

■石灰が多かったり少なかったりすると?

石灰を入れすぎると、主成分のカルシウムが多量に溶けて団粒が壊れ、土が硬くなります。また、土がアルカリ性に傾き、肥料成分が土の中で溶けにくくなって、野菜が吸収できなくなってしまいます。
貝化石石灰やカキ殻石灰は効き目がゆるやかなので、まいた直後に土の酸度を測っても数値に大きな変化はありません。足りないと思ってさらに入れると、効果があらわれるころには、野菜が育つのに不向きなpHになってしまいます。
逆に石灰が少なすぎると、酸度を調整できないばかりか、野菜を育てる肥料としてのカルシウム分が不足。葉や根などに障害が出て、特に若い葉の先端が白くなって枯れてしまいます。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2022年2月・3月号より

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