モグラは悪意のない「畑の害獣」? 土壌のつまりに一役かってもらおう

「畑の害獣」としておなじみのモグラですが、実は「土壌のつまり」の改善に役立つ一面もあるのだそうです。元明治大学農場特任教授・有機農業研究家の佐倉朗夫(さくら・あきお)さんに話を伺いました。

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■モグラは畑の害獣?

畑に土が盛り上がり、ぽっかりあいた小さな穴。それはきっとモグラの仕業にちがいありません。
土の中にトンネルを掘るように進んでいくモグラは「畑の害獣」として認識されています。しかし、モグラの主なエサは、土の中にいるミミズや昆虫の幼虫なので、あまり作物を食い荒らすことはしません。それなのになぜ「畑の害獣」と呼ばれているのかというと、モグラが土の中を移動した際、作物の根を浮き上がらせて枯らしてしまったり、モグラの通り道を利用して移動するネズミに作物を食べられてしまったりするからです。
こうして改めて被害について考えてみると、モグラって悪意のない「畑の害獣」かもしれませんね。

■モグラ穴を発見! どうする?

別の視点で考えてみると、モグラが作るトンネルは、たたきつける強い雨や農作業で踏み固められた土に通気性を与えてくれているともいえます。通路(畝間/うねま)でモグラを見かけたり、畝に小さな穴ができていたら、土の中にミミズがたくさんいて、土壌の通気性がアップした証拠です。佐倉流有機栽培では「土壌のつまり」の改善に、モグラに一役担ってもらいましょう!
佐倉流の有機栽培は、「前作の作物の根は抜き取らない」「畑は耕さない」などの、作業が楽ちんな家庭菜園です。作物の生育状態を観察しながら、必要な作業をそのつどプラスしていきます。
例えば、作物の生育がよくないと感じたのなら、土壌の通気性が悪いことから、根が育たず、根詰まりを起こしていた可能性があります。支柱とスコップで楽ちんにできる“つまらない”畑作りを開始しましょう。
※モグラの穴の対処法や、土壌の通気性をアップさせる方法はテキストに掲載しています。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』連載「家庭菜園のための有機栽培」2021年12月・2022年1月号より

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