名著100冊から紐解く「文章のプロの共通ノウハウ」 最も重要な「書き方のコツ」は...
- 『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』
- 藤吉 豊,小川 真理子
- 日経BP
- 1,650円(税込)
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SNSの普及により、分かりやすく誤解のない文章をスピーディに書く機会が増えました。しかし簡潔な文章を書くのは意外と難しく、「うまく書けない」「伝わらない」と悩む人も......。
そこで、藤吉 豊さんと小川真理子さんによる著書『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』を紹介します。本書は「一流のライター(コピーライター)、作家、ジャーナリストの多くが身につけている書き方のコツを1冊にまとめてみよう」がコンセプト。読み始めて数ページ目には1位~40位のランキング形式で「書き方のコツ」がドンと掲載されています。
1位~7位は文章を書くうえでのルールであり、ここをおさえれば「文章力の向上」を実感できます。それ以降の20位までを身につければ「文章がうまい人」になり、40位までを身につければ「プロ級の書く力」が期待できる、という構成です。
そんな本書で堂々の1位に輝いた「書き方のコツ」は、「文章をシンプルに」。これは100冊中53冊に記されていたそうです。具体的には、どのようなポイントに注意して文章をシンプルにすればよいのでしょうか。
本書では「余計な言葉はとにかく削って、簡潔に」、「1文の長さの目安は、『60文字』以内」、「ワンセンテンス・ワンメッセージ」の3つに分けて解説しています。作文に苦手意識がある人は、「余計な言葉を削れ」といわれても何が「余計な言葉」なのかピンとこないかもしれないので、本書に掲載されている「悪い例」と「良い例」も紹介します。まず「悪い例」を読んで、どれが「余計な言葉」にあたるのか、一緒に考えてみましょう。
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×悪い例
新型コロナウイルスというものは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中のいたるところすべてで、とても大きな被害が発生する状況が続いているのです。
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若干の読みづらさを感じるものの、言いたいことは分かる文章です。続いて「良い例」をみてみましょう。
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〇良い例
新型コロナウイルスは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中で大きな被害が出ています。
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ぐっと読みやすくなりました。まず「余計な言葉」として削られたのは「というものは」です。ブログやネットニュースなどでも「という」を多用する人は思いのほか多く、これが削られた文章とそうでない文章では読みやすさが格段に違います。
また、「良い例」では「世界中のいたるところすべて」を「世界中」に、「とても大きな被害が発生する状況が続いているのです」を「大きな被害が出ています」にして、類語の重複やまわりくどい表現を短く言い換えています。
このように「文章をシンプルに」を心がけるだけでも読みやすさの変化を実感できるでしょう。
本書ではほかにも、「文章のプロが持つ共通のノウハウ」がたくさん紹介されています。書くことに慣れていない人は、多数ある文章術の本を片っ端から読むより、一度本書に目を通してみることをおすすめします。書くことに慣れている人には、文章力の底上げや学び直しの参考になるはず。文章を書く際のお供として持っておきたい1冊です。
[文・春夏冬つかさ]