庭木・花木の「剪定」はなぜ必要なの?

撮影:田中雅也
草花と違い、「庭植えの樹木はほうっておけばいい」と思っていませんか? 限られたスペースで楽しむには、樹木といえども形や大きさをコントロールする必要があります。その手段が「剪定」なのです。園芸研究家の上条祐一郎(かみじょう・ゆういちろう)さんに剪定のイロハを教えてもらいました。

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■木を小さくする=剪定ではない

剪定の目的は大きくなりすぎた木を小さくするためではありません。木はもともと大きくなる種類が多いのですが、そのサイズをコントロールしつつ、より美しく見せるのが剪定です。
近年はやりの雑木の庭(カツラやモミジなど、主に日本に自生する広葉樹によって構成し、季節感豊かな安らぎの庭)も放任して葉の量がふえると、光合成による栄養もふえて幹や枝が太くなります。軽やかな木姿を維持したければ、剪定で葉の量をある程度抑え、幹や枝を太くしないことが大切です。暑苦しい姿になる前に、毎年定期的に「今日はちょっと剪定しようかな」という感じで行うと、樹形自体が整いやすくなります。

■毎年30分の作業で心地よい庭に

樹種ごとの最適な切り方は覚えきれないし、名前のわからない木があるかもしれません。だからといって剪定を躊躇していると、木はボサボサになってしまいます。失敗しないためのポイントだけ押さえて、やってみましょう。落葉樹の枝ぶりがよくわかる12月は、まさに落葉樹の剪定の最適期です。
木が大きくなってからでは、どうしても太い枝を切ることになり、切り口から木を傷めるリスクが高くなります。邪魔になったから切るのではなく、“剪定は日常管理”という意識で行えば、庭木1本は毎年30分の作業で完了! 美しい庭木は庭のクオリティーを向上させ、心地よい庭を実現します。剪定してよかったと、きっと思えますよ。
■『NHK趣味の園芸』2021年12月号より

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