アットホームな中部総本部

日本棋院中部総本部所属の下島陽平(しもじま・ようへい)八段が綴るコラム「中部発!尾張なき旅」。今月は、中部総本部の特長を紹介してくれました。

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せっかくこうして「尾張なき旅」というページをいただいているので、中部総本部のいいところをアピールせざるを…、いや、アピールしたいと思います。
思いつくのはやはり「アットホーム」でしょう。現役棋士の数が50数人とそう多くないため、ベテランと若手の距離が近く会話が多い。ちなみに「at home 」を辞書で引いて直訳すると、「家で」ということらしい。何のこっちゃ?
僕の院生時代は院生の数が少なかったこともあり、棋院でプロ棋士の近くで打ちたそうな顔をしていたら、だいたいの先生が打ってくださいました。その中でも小県真樹九段には数え切れないほどたくさん打っていただきました。
「一番手直り」という、勝てば置石が一子減り、負けたら一子増えていくという世にも恐ろしいルールで、さらに一手10秒。プロになった年のある日、互先からスタートして四子まで打ち込まれました。小県先生はめちゃくちゃ強いので、二子で負けたあたりまでは悔しいけどしかたない気もしましたが、三子で負けた時には涙も出ないような放心状態に…。
「はい、次~!! 四子~!!」と満面の笑みの小県先生。鬼め…。悪魔め…。怪獣め…。
最後に何とか四子で勝った時、小県先生はこう言いました。「チッ…。ここで負けるか?」
どうです? 中部総本部、アットホームでしょ?
※段位・タイトルはテキスト発売当時のものです。
■『NHK囲碁講座』連載「中部発!尾張なき旅」2021年5月号より

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