素材を柔らかく仕上げるみそで秋の煮物

さばのみそ煮 撮影:蛭子 真
連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。11月号では、秋らしいみそ味の煮物をつくってくれました。

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みそは、しょうゆと並ぶ日本が誇る発酵調味料やと思います。どちらも大豆が主原料で、グルタミン酸といううまみ成分を多く含んでいます。
しょうゆ味とみそ味のおかずを比べたとき、みそ味のほうが素材がより柔らかく仕上がっているイメージがありませんか。今回のみそ煮の割合は、そんな期待にこたえてくれる味つけやと思います。
調味料のなかには、肉や魚のたんぱく質を柔らかくしてくれるものと、逆に堅くするものがあるのです。「みりんは堅くする」「みそ、砂糖、酒は柔らかくする」と覚えてください。
今月は、寒くなるにつれおいしさが増す、さばと大根を煮てみました。
さばは京都では、しょうゆ味のしょうが煮か、今回ご紹介するみそ煮が多いですね。「煮る」ことを「炊く」というので、「さばのみそ炊き」がなじみのある名前かな。みそは青魚のもつ独特のくせを、うまいこと包み込んでくれるので、理にかなった味つけです。
もう一品は、大根です。大きな根と書いて大根。日本を代表する野菜やと思っています。生でも火を通してもおいしく、皮も葉も使えます。高級な料理にも庶民的なおかずにもなる、節度と品位のある根菜。グルタミン酸もたっぷり。大好物なのでほめすぎかな(笑)。
焼いて香ばしさをプラスして煮ています。煮くずれしにくくもなるので、一石二鳥。おすすめのつくり方です。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』「割合でつくる だしいらずの和食」2020年11月号より

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