干した魚のうまみを「だし」がわりに 京都の老舗料亭のワザ

あじの干物ととうがんの煮物 撮影・蛭子 真
連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。今月号の「だしがわり」はあじの干物とちりめんじゃこ。

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干した魚の凝縮したうまみをだしがわりに
あじなどの魚の干物は、もちろん焼いて白いご飯と食べるのが素直においしいわけですが、ちょっと食べ飽きたなぁと思われたときには、野菜と合わせてみてはいかがでしょう。
焼いてほぐしたものをきゅうりなどとあえるのもええですが、さっぱり味の煮物もおすすめです。干物にした魚は生の状態のときと比べて、うまみ成分のアミノ酸が大幅に増えています。ですので、だしがわりにもなり、具としてもおいしいので、一石二鳥です。
今回は、これからが旬のとうがんと合わせました。温かいままでもおいしいですが、冷やすとよりすっきりとした味わいが楽しめます。
野菜はくせがなく、魚のうまみがしっかりしみ込むタイプと相性がよいので、寒い時季ならかぶや大根などもええと思います。
魚の干物は、生焼けだとくさみが残るので、しっかりと焼くのがポイントです。あとはきれいな身の部分だけを使い、焦げたりしたとこをしっかりと除くことも、おいしく仕上げるための大事なコツです。
もう一品の炊き込みご飯に使ったのは、ちりめんじゃこ。これはもう、おわかりですね(笑)。いりこの成長前の姿ですから。
京都では、いりこのことをだしじゃこと呼びます。青菜とお揚げを炊く(煮る)ときは、だしじゃこでうまみを補います。炊き込みご飯もだしじゃこで炊いてもええのですが、少々いかついので、具として食べるのならちりめんでしょう。腹ワタを除く手間も省けます。
一緒に炊き込むのは、新ごぼうとえんどう豆。炊き上がってふたを開けると、和食ならではの夏の野菜と豆の香りがフワッとたち上がりますよ。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理』連載「割合でつくる だしいらずの和食」2020年7月号より

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