藤澤一就八段から弟子の藤井浩貴初段へ「世界に羽ばたいて」

撮影:小松士郎
新入段した棋士を師匠が紹介する連載「師匠が見た!NEWフェイス」。今月号は、藤澤一就(ふじさわ・かずなり)八段が、藤井浩貴(ふじい・こうき)初段について語ります。

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藤井君との縁は奇遇で、亡父である秀行名誉棋聖と縁のあった知人の紹介でした。初めて教室に来たのは小学6年の夏です。ちょうどその少しあとに湯河原での合宿があり、参加させることにしました。合宿では3名の棋士と、院生約10名でクラス別リーグ戦です。対局や検討で、粗削りではありましたが、全局のバランス感覚、サバキにところどころ光るものがあったことから院生になることを強く勧めました。
10月には院生となり、週末だけ東京に泊まり、春からは天豊道場に住み込みで内弟子となりました。教室や天豊道場では、秀行合宿に縁のある棋士を中心に指導に来てもらっていて、リーグ戦や長めの持ち時間の対局でもまれ、もともと実戦向きの藤井君は順調に伸びていきました。
このころは内弟子の先輩で、本木克弥八段と広瀬優一四段がいたのもよい刺激になったと思います。棋風は厚みを生かした全局的なバランス感や攻めに優れています。シノギでも鋭い手が見えますね。逆に焦点がはっきりしない局面はやや苦手ですが、努力と経験で克服できるでしょう。すでに手合いは始まっていますが、3年以内には若手棋戦のタイトルを取るくらいの成長を見せて、世界に羽ばたいてもらいたいと思います。
■『NHK囲碁講座』連載「師匠が見た!NEWフェイス」2020年5月号より

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