菅井竜也八段の人生を変えたインターネット将棋

撮影:河井邦彦
平成の将棋界はどのように動いてきたのか。平成の将棋界をどうやって戦ってきたのか。勝負の記憶は棋士の数だけ刻み込まれてきた。連載「平成の勝負師たち」、2020年5月号に菅井竜也(すがい・たつや)八段が登場する。

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パソコンのモニターに映し出される世界に、当時の菅井少年は「そこには夢のような空間が広がっていました」と、心を躍らせた――。
平成という時代は情報伝達、分析技術に革命をもたらした31年間でもあった。それは菅井の将棋人生にも、大きく関わることになった。
岡山県で生まれ育った菅井は5歳のときに父親から将棋を教わった。ただし、小学4年生のころまでは数ある遊びの一つでしかなく、棋力もアマ初段程度にすぎなかった。
小学4年生から倉敷市の「大山名人記念館」で行われている子供教室に通うようになった。それから棋力が伸びていき、小学5年生のときに地元で毎年行われている「全国小学生倉敷王将戦」に岡山県代表として出場した。結果は予選で敗退。そのとき、大会に参加していた子供から聞いたのが、インターネット将棋道場である「将棋倶楽部24」だった。
通称「24(にーよん)」にはアマ強豪やプロ棋士が連日、匿名のハンドルネームで対局していた。それが菅井の冒頭言葉につながっていくのだ。
学校から帰るとパソコンにかじりつき、多い日には30局以上も指したという。
インターネット将棋は気軽にいろいろな手を試せるのが利点の一つだと菅井は話す。見たことがない作戦を知ったこともあった。振り飛車穴熊に対して▲6六角から▲7七桂で端を狙う「角田流」を初めて見たときは「そんな作戦があるのか!」と衝撃を受けたと微笑(ほほえ)む。
ネット将棋の効果はすぐに現れた。
小学生将棋名人戦でベスト4に入り、予選敗退の翌年には、倉敷王将戦で全国優勝を果たした。そして平成16年に井上慶太九段門下で奨励会に入会した。
文:池田将之
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK将棋講座』連載「平成の勝負師たち」2020年5月号より

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