さば缶と鶏手羽元をだしがわりに 2種の和風スープ

新たまねぎとさば缶の和風スープ 撮影:蛭子 真
連載「割合でつくる だしいらずの和食」では、京都の老舗料亭の3代目、村田吉弘(むらた・よしひろ)さんが「だし」のかわりにうまみたっぷりの食材を使った料理を紹介しています。今月号の「だしがわり」はさばの水煮缶と鶏手羽元。

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この連載では、毎回おいしい和食をつくるのに欠かせない2つの要素「うまみ」と「調味料の割合」について、話していこかと思てます。
和食がほかの国の料理と明らかに違うのは、その味つけにしょうゆ、みりん、みそといった、日本ならではの調味料を使っていること。そして、そのどれもが発酵させた調味料だということです。
昔は海外旅行にしょうゆを持って行った、なんて話がよくありましたが、どこの国の料理でもしょうゆをかけたとたん、和食の雰囲気になる。そんな強さが、和の調味料にはあるんやと思います。塩だと、そうはならんですよね。
それはおそらく、しょうゆが発酵調味料で、うまみがしっかり含まれているから。発酵調味料は発酵の過程で、原料に含まれるたんぱく質がアミノ酸に分解されて、うまみ成分が生まれるのです。酢、みそ、みりんといった基本的な和の調味料が、すべて発酵調味料だということは、とても大きなことやと思います。和食がいま、世界的に評価されているのも、うまみを大切にしてきた料理だからではないでしょうか。
さて、先月に引き続き今月も、味つけはしょうゆとみりんだけの料理です。しょうゆとみりんは同量、が基本です。なぜ同量だとええのかは分かりませんが、不思議に、うまいこと辛いと甘いのバランスがとれるんです。相性のええもんどうしなんでしょうな。
最近は、和食でも甘みを砂糖にすることも多くなりましたが、一度しょうゆと同量のみりんを使ってみてください。素材のおいしさを、より素直に味わえると思います。もちろんお好みもあるでしょうから、そこから好みの味つけに調整してみてはいかがでしょう。
※つくり方はテキストをご覧ください。
■『NHKきょうの料理』2020年5月号より

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