種苗メーカーがタネを商品化するまで

タネは湿気を嫌う 人と会社ので部屋は乾燥気味。のどの水分保持のためにマスクをしている従業員も。撮影:内藤貞保
タネや苗は、どんな道をたどって私たちのもとへ届くのでしょう。小売店、種苗会社、そして苗作りやタネとりをしている農家へとさかのぼり、3号連続で話を聞きます。今回は種苗メーカーに話を聞きました。

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■タネの検品は匂いもかぐ!?

種苗メーカーは、野菜や草花などの品種を研究開発し、生産して売っている会社です。私たちの買う野菜のタネがどのように商品にされるのかを知りたくて、京都にあるタキイ種苗を訪れました。商品管理部は工場のように大きい建物。何やらたくさんの機械がモーター音を響かせ、一角に巨大な袋やカートンが積まれています。
「これが産地から入荷した種子です。何十トンと大量に入ってくるものもあれば、何グラムしか入ってこない希少なものもあるんですよ」(タキイ種苗商品管理部・寄能靖夫さん) 

タネは、国内外の各地で生産しているそうですが、近年、日本で売られるタネの大半は海外生産。国内で開発した品種を外国で育て、タネをとっているそうです。雨の多い日本の気候が採種に適していないなどの理由です。
「入荷した種子はまず検品。ゴミが混ざっていたり重量が軽かったり、そのつど状態が異なるので、どうすれば品質のよい種子になるかを見極めます」。
検品は機械だけでなく人の感覚も頼り。
「種子には種類ごとに匂いがあり、それをかぐことも検品項目の一つなんです。ベテラン社員は匂いだけで、『水分量が多いな』などと気づくんですよ」。

■タネの品質を高める「精選(せいせん)」

検品を終えたタネには、品質をよくするために「精選」という作業を行います。品質のよいタネとは健康な芽が出るタネ。よい芽が出れば、健全な生育が望めるからです。
「種子の精選にはいろいろな種類があります。サイズ別に分ける精選、いびつなものがないか形で分ける精選、種子は中が詰まっているものがよいので、風や振動などを利用して重い種子と軽い種子を分け、充実した種子だけを選びとる精選もあります。水分を含んだ種子などは乾燥機を用いて種子の含水量を調整しています」(寄能さん)
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸やさいの時間』短期集中連載「タネと苗のはなし」2019年12月・2020年1月号より

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