ハイボールを合わせたい……ぽってりタルタルのかきフライ

撮影:野口健志
大人になってからかきフライが大好きになったという坂田阿希子さん。おいしいかきフライと、こだわりのタルタルソースをつくるポイントを教えてくれました。

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子どものころは、かき特有の磯の香りやあの食感がどうにも「大人の食べ物」という気がして、仲よくなれた思い出がない。父がよく「ウイスキーとかきフライの組み合わせっていいよなぁ」などと言っていたせいかもしれない。「ウイスキーとかきフライ」。この響き、子ども心に「大人がおいしいと思う食べ物」という感じがした。今はかきフライが大好き!
そして、父と同じくウイスキー、それもハイボールにして合わせるのが気に入っている。かきフライの食べ方は人それぞれだと思うけれど、私は何といってもタルタルソースとウスターソース。これまた、昔から父のお気に入りである、子どものころから通った洋食屋さんのせいかもしれない。その店のタルタルは、しっかりぽってりと皿の上で形を保てる堅さ。つまりは少しも水っぽくない。お皿にダラーッと広がるタルタルではなく、キリッとポテッと山型になる。このタルタルが本当においしかった。まずはこのぽってりタルタルからつくりましょう。
ゆで卵は固ゆでにして白身と黄身を分けます。白身だけを細かく刻み、ペーパータオルかガーゼで包んでぎゅっと絞ると、意外と水けが出てきます。これをちゃんと絞るのが水っぽくないタルタルの大事なポイントです。黄身はスプーンなどでつぶしておけばオッケー。白身と合わせて、細かく刻んだピクルス、マヨネーズ、塩、こしょうで調味します。たまねぎを入れると水けが出るので、あえて入れません。ここに少々ウスターソースを。マイルドなタルタルがキリッと引き締まりますよ。
かきは必ず「加熱用」を。加熱するのに適したかきだからふっくらと仕上がりますよ。塩水でふり洗いし、しっかりと水けを拭き取ります。軽く塩、こしょうをして小麦粉、溶き卵、生パン粉の順に衣をつけます。生パン粉だとカリッとした衣になるし、柔らかいかきにもしっかりとつきやすいです。
あとは180℃の揚げ油で揚げていきましょう。ラードを少し混ぜると洋食屋さんの風味に仕上がります。口当たりが軽やかなレタスのせん切りを添えて、タルタルソースをたっぷりと。ウスターソースとタルタル、ぜひ両方添えて食べてみてくださいね。ちょっとダンディーなおじさん風にハイボールを合わせましょう。おじさんでなくても、この組み合わせはやっぱり最高です。
※詳しい分量とつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』連載「サカタメシ」2019年12月号より

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