本当は誰にも教えたくない! 坂田阿希子さん秘伝のポテトフライとオニオンリング

撮影:野口健志
ポテトフライとオニオンリング。この魅惑の揚げ物をとびきりおいしくつくる方法を、坂田阿希子さんが教えてくれました。

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野菜1つの揚げ物で、これほど魅力的なものってあるだろうか。「ポテトフライとオニオンリング」。
この2つの名前を聞けば、老若男女、誰でも「ウフフ」と笑みを浮かべ、つまみたくなると信じている。この2つの思い出はいろいろで、高校生のころに食べたファストフードのポテトフライは細いフレンチ。お弁当に母が揚げてくれたのは皮をむいてちょっと太め。オニオンリングは、ニューヨークで食べたガリガリと何層にもなった衣にとにかく感激した。
ポテトフライは何度つくっても、気に入った味ができない。少し時間がたつとべチャッと油が回るし、オニオンリングもガリガリの衣には程遠い。大好きなのにどこか距離を縮められないこの2つ。ようやくピタッとくるレシピにたどりついた。本当は誰にも教えたくない(笑)、秘伝のレシピを大公開いたします。
まずはポテトフライから。じゃがいもは皮付き丸ごとのままゆでても蒸してもいい。竹串がスッと通るまで加熱します。粗熱が取れたら冷蔵庫に一晩。これが秘けつ。じゃがいもの中のでんぷん質が出てきて糖度が増し、ネチッとします。このネチッが揚げたときにカリッとした表面をつくる。大事なポイントです。皮付きのままくし形に切っておきます。包丁にネチッとでんぷんがくっつく感じになったらしめたもの。皮付きだと皮のサクサク食感も楽しめますよ。
そして、オニオンリング。ニューヨークでは大抵のお店でバターミルク(生クリームからバターをつくる際に残る液体)を使っていることが判明。これが独特の風味とガリガリした食感を生むようです。こちらは、牛乳にレモン汁を加えて分離させた液体で代用。これに塩、黒こしょうを加え、輪切りにしてほぐしたたまねぎを30分から1時間つけます。
ここに分量の小麦粉。全体をアバウトな気持ちで混ぜるとネチネチしてくるので、そのネチネチにさらに小麦粉をまぶす。ポイントはとにかく「アバウト」。ちょっとおおらかなアメリカ人になったつもりでやるのがいいんです。このアバウトにつけた衣がとにかくいい感じのガリガリになります。
ポテトフライもオニオンリングも高温の油に入れ、カリッと色づくまで揚げれば、何ともすてきなお姿に。油に少しラードを混ぜるとすばらしい風味が生まれるのでぜひお試しください。
とっておきのレシピをもう1つ。トマトがたくさん手に入ったら自家製ケチャップを! フレッシュトマトを煮詰めてつくる自家製は、少々時間はかかりますが想像以上のおいしさ。このケチャップを揚げたてに添えればもう最高の組み合わせです。
昔はコーラなんかと組み合わせて食べていたっけ。今は冷たいビールと一緒に夏の夕暮れに食べたい。大人っていいよね、って思います。
※詳しい分量とつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』連載「サカタメシ」2019年9月号より

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