NHK杯戦で感じた師・井上慶太九段の恩
- 菅井竜也七段
菅井竜也(すがい・たつや)七段が講師を務める「菅井流 やんちゃ振り飛車」も、2019年9月号で最終回。最後は飛車を5筋に振る「先手中飛車」の戦いを解説しています。人気コラム「タッチャンの空飛ぶ振り飛車」では師匠の井上慶太九段との思い出を語ってくれました。
* * *
コラムも今月号で最後です。師匠の井上慶太九段について書いていきます。
師匠を知ったのはNHK杯戦の放送で、解説者として出演されていました。当時は指し手など専門的なことを話すのが普通でしたが、師匠は当時からユーモアを交えた解説をされていて「面白そうな先生だな」と子ども心に感じたものです。
奨励会に入るにはプロ棋士の師匠が必要で、私はテレビでしか見たことがなかった井上先生に手紙を書きました。しばらくして井上先生から電話があり、ご自宅でお会いすることになったのです。
家に入らせていただくと、奥様の手料理を食べながら先生とお話をしました。そのときの唐揚げが絶品で、すぐにおかわりをしたことが懐かしいですね。
食事を終えると加古川将棋センターに移動し、井上先生に一局指していただきました。師匠からしたら私の力を見るための対局でしょう。ですが、私は負けると弟子にしてもらえないのではないかと思い、背水の陣のつもりで指したのです。何とか勝つことができて、帰り際に「これから月2回、将棋を指そう」と言っていただけました。先生に弟子入りできるんだと安心したことを覚えています。
最終回の講座は井上先生と指したNHK杯戦の対局を題材にしました。師匠とテレビ対局を指せることは幸せですし、かなり緊張したものです。幸いにも対局に勝つことができました。終わったあとは一緒に新幹線で帰り、車中では感想戦の続きをしたのもいい思い出です。
師匠にはいつもご馳走(ちそう)していただいていたのですが、品川駅で弁当を買うときに「今日は自分で払いなさい」と。改札口を通るとき「師匠への恩返しはこんなんちゃうで。わしが勝てん相手に勝つのが恩返しやから」と告げられたのです。
師匠、岡山の皆さま、ファンの方々、恩返しをするにはやはり結果を残すしかありません。そのためにも努力を続けていきたいと思っています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年9月号より
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コラムも今月号で最後です。師匠の井上慶太九段について書いていきます。
師匠を知ったのはNHK杯戦の放送で、解説者として出演されていました。当時は指し手など専門的なことを話すのが普通でしたが、師匠は当時からユーモアを交えた解説をされていて「面白そうな先生だな」と子ども心に感じたものです。
奨励会に入るにはプロ棋士の師匠が必要で、私はテレビでしか見たことがなかった井上先生に手紙を書きました。しばらくして井上先生から電話があり、ご自宅でお会いすることになったのです。
家に入らせていただくと、奥様の手料理を食べながら先生とお話をしました。そのときの唐揚げが絶品で、すぐにおかわりをしたことが懐かしいですね。
食事を終えると加古川将棋センターに移動し、井上先生に一局指していただきました。師匠からしたら私の力を見るための対局でしょう。ですが、私は負けると弟子にしてもらえないのではないかと思い、背水の陣のつもりで指したのです。何とか勝つことができて、帰り際に「これから月2回、将棋を指そう」と言っていただけました。先生に弟子入りできるんだと安心したことを覚えています。
最終回の講座は井上先生と指したNHK杯戦の対局を題材にしました。師匠とテレビ対局を指せることは幸せですし、かなり緊張したものです。幸いにも対局に勝つことができました。終わったあとは一緒に新幹線で帰り、車中では感想戦の続きをしたのもいい思い出です。
師匠にはいつもご馳走(ちそう)していただいていたのですが、品川駅で弁当を買うときに「今日は自分で払いなさい」と。改札口を通るとき「師匠への恩返しはこんなんちゃうで。わしが勝てん相手に勝つのが恩返しやから」と告げられたのです。
師匠、岡山の皆さま、ファンの方々、恩返しをするにはやはり結果を残すしかありません。そのためにも努力を続けていきたいと思っています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK将棋講座』2019年9月号より
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