シンプルなのに衝撃のおいしさ! 坂田阿希子さんの汁なし担々麺

撮影:野口健志
暑くなると食べたくなる辛い担々麺。坂田阿希子(さかた・あきこ)さんが、豚肉を包丁で細かくたたいた本格的な汁なし担々麺を教えてくれました。

* * *

日本で担々麺といえば、ごま風味の白濁したスープの辛い麺、というイメージだが、中国では汁のない担々麺しかないという。
そもそも「担担」とは「天秤(てんびん)棒」のことで、天秤棒の片方にはお茶碗(わん)を、片方には麺や具材をつるし、担いで売り歩いていたものだそう。
かなり前になるけれど、知り合いの中国の主婦の方が水ギョーザを教えてくれることになった。そのときにおまけでつくってもらったのがこの「汁なし担々麺」。
ひき肉を使わずに肉をたたいて炒める。それもかなりカラカラになるまで。このカラカラ味つけ肉が中国ではいろんな料理に登場するとか。数種類のせん切り野菜の真ん中にこのカラカラ肉を盛りつけ、ザックリ混ぜたサラダも用意してくれた。
手づくりラーユをベースにしたたれを器の底に入れ、ゆでた麺、カラカラ肉と薬味。これをよーく混ぜて食べるのだけど、初めて食べた汁なし担々麺の味わいは衝撃的で、舌にしびれる花椒(ホワジャオ)やカラカラ肉の歯ごたえ……こんなにシンプルなのに、なぜこんなにもおいしいの?と感激したものである。
さてつくり方。
まずは手づくりラーユ。耐熱ボウルに韓国産の粉とうがらし、水を入れて練り合わせ、ここに軽くつぶした花椒を。フライパンでごま油をアツアツに熱し、ジャーッ!と加えます。このとき、とうがらしから一気に立ち上る水蒸気にケホケホとむせ返りそうになるのでご注意を。
カラカラ味つけ肉は、豚こま切れ肉を包丁でたたきます。ひき肉と違って、不ぞろいな形の肉に味がからみ、歯ごたえも出ておいしいのです。透明な脂が出てパラパラになるまで炒めたら、紹興酒、しょうゆ、しょうが汁を加え、汁けがなくなるまで炒めます。
さて、先ほどの手づくりラーユ。これをすりごま、しょうゆ、水と混ぜ、たれは完成。麺は、できればかん水なしがおすすめです。うどんや太めのそうめんでも意外といい感じに仕上がりますよ。
小さめのお茶碗にたれを入れ、ゆでたての麺の水けをよくきって加え、カラカラ味つけ肉、そして、細ねぎやパクチーをたっぷりと。松の実を入れてもおいしい。あとはよーく混ぜて食べましょう。好みで黒酢を加えるとさらに味がキリッと引き締まります。飲んだあとの締めに、こんな麺を売りにきてくれたら最高です。おばあちゃんになったら担々麺屋さんやってみたいなぁ。もう天秤棒はとても担げないかもしれないけれど。
※詳しい分量とつくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』2019年8月号より

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