菅井竜也七段、岡山出身の棋士としての思い

撮影:藤田浩司
菅井竜也(すがい・たつや)七段が講師を務める「菅井流 やんちゃ振り飛車」。2019年7月号では居飛車対振り飛車の対抗形における石田流三間飛車戦法を解説しています。菅井七段は将棋王国・岡山県の出身。人気のコラム「タッチャンの空飛ぶ振り飛車」では、岡山出身の棋士として思うことを綴っていただきました。

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岡山出身のプロ棋士は現在、私のほかに有吉道夫九段、有森浩三七段、女流棋士に山田朱未女流二段がいます。その礎を築いたのが、故・大山康晴十五世名人でした。出身地の倉敷市には「大山名人記念館」があります。私は小学4年生のときに記念館の将棋教室に通い始めました。当時から子供教室だけで8クラス、さらには大人教室もありました。
岡山の各地区に同じような教室があり、100人を超える生徒を抱えている場所もあります。大山先生の影響で、岡山には昔から将棋が浸透していました。
私も何かできることがないかと5年前から「菅井教室」を半年間の期間限定で開催しています。岡山で行われたあるイベントの日に『自分でも教室ができればよいな』とふと思い、大山名人記念館館長の北村実先生に伝えました。すると、すぐに会場や準備、チラシ作成などの連絡を取ってくださり、なんと5分後には開催の手はずが整ったのです。
当初は初心者から上級者までを対象にしていましたが、3年目からは中級以上の教室になっています。短い時間で大勢にルールから教えることは、自分が思っていた以上に大変でした。岡山にはよい指導者の方が多く、皆さんの指導力の高さを改めて実感しました。初心者の子供たちはその先生方にお任せしています。
プロ棋士になったときに私の後援会となる「竜棋会」を作っていただきました。さらに毎年「菅井杯」という将棋大会を開催していただいています。地方の大会にもかかわらず参加者が300人を超えているのは本当にありがたいことです。最上位のSクラスは名の知れた強豪ばかりで不思議な感じです。第1回〜第3回の優勝者は、当時アマチュアだった今泉健司四段でした。
教室も大会も、地元の皆さまや後援会の方々のご尽力があってこそです。常に私が将棋に集中できる環境を作ってくださっていることに感謝しています。
■『NHK将棋講座』2019年7月号より

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