仲邑菫初段も出場した未就学児だけの囲碁大会

撮影:小松士郎
3月23日に日本棋院にて開催された本大会は、今年で8回目を迎える。宮城、大阪、愛知など全国各地から未就学児が集まり、約120人が参加した大規模な大会となった。

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■囲碁棋士の登竜門

一年の勉強の成果を年度末のキッズカップにぶつける。そんな思いが未就学児のちびっ子棋士たちに浸透しつつある。
本大会開催のきっかけは、主催する渡辺和代さんの「囲碁は子どもの教養によいものだから、囲碁普及をしたい」という強い思いによるもの。それから毎年開催されて8年目となる。当初は未就学児のみということで、大会自体が成り立つのかという心配もあったようだが、ふたを開けてみれば、参加者は開催を始めてすぐに100人を超える、人気の子ども大会となった。
人気の秘けつは、未就学児に限定した安心感もあるが、大きな特徴として大会スタッフの手厚いサポートによるものが大きい。予選リーグは8人ずつに分かれるが、必ず各リーグに審判員がついている。また、その他のスタッフも見回りをしており、トラブル対策には万全を期している。
さらに注目なのは、大会案内に参加条件として「19路盤で終局できる子ども」とあり、未就学児にしてはハードルが高そうだなとも思えた。しかし、すぐあとに「整地は審判員が行います」とも付け加えてある。この付け加えられた一文で参加を決めた保護者は多いことだろう。未就学児は対局ができても、整地を一人で行うのは難しい。手厚いスタッフの存在があるからこそできる対応だ。
本大会の審判として小川誠子六段、大西竜平四段、上野愛咲美女流棋聖の3人の棋士が招かれた。上野女流棋聖は挨拶で「妹(上野梨紗初段)もこの大会に出場したことがあります。賞品がディズニーチケットの大会というイメージがあります。家族で行きました」と思い出を語る。
そして、上野初段と同期入段になる仲邑菫初段も出場経験者だ。本大会初出場での敗退をきっかけに、上達したい気持ちを強く持ったというエピソードもある。現在の出身棋士はこの2人だけだが、これからキッズカップ出身の棋士がたくさん誕生するのは間違いないだろう。
※決勝戦含む三局の観戦記をテキストに掲載しています。
■『NHK囲碁講座』2019年7月号より

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