夏花壇の救世主 暑さに強い宿根フロックス

‘ブライト・アイズ’。ピンクに濃色の目が入る定番品種。芳香があり、切り花にも使われる。撮影:福田稔
多くの草花の花つきが悪くなる夏。そんな猛暑にも負けず、夏じゅう花を咲かせ続ける宿根フロックスは、まさに夏花壇の救世主です。古くから栽培されてきた草花ですが、最近は改良が進んで、これまでになかった花色や花形の品種も登場しています。あなたの庭にも植えてみませんか? 園芸研究家の伊藤章太郎(いとう・しょうたろう)さんに、宿根フロックスの特徴を教えてもらいました。

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■種類豊富なフロックス

フロックス(Phlox)と呼ばれる植物には、一年草も多年草もあり、多くの種類が含まれます。なじみ深い種類には、一年草のキキョウナデシコ(フロックス・ドラモンディ)、這い性で春咲きの多年草のツルハナシノブ(フロックス・ストロニフェラ)などがあります。意外に思われるかもしれませんが、じつはシバザクラもフロックスの仲間(フロックス・スブラタ)です。

■日本には江戸中期に渡来

今回紹介するフロックスは、通称で「宿根フロックス」と呼ばれているフロックス・パニキュラータです。和名はクサキョウチクトウで、オイランソウという別名もあります。
和名から日本原産の植物、もしくはかなり古い時代から国内に定着しているような印象をもたれそうですが、宿根フロックスの原産地は北米です。地域によりますが、自生地では初夏ごろから林の入り口の道沿いにスーっと伸びて花を咲かせた宿根フロックスを見ることができます。日本には、諸説がありますが、江戸時代中期ごろにやってきたといわれています。

■猛暑にも耐えて花を咲かせる

宿根フロックスの魅力は草姿や花色だけではありません。最大の魅力は、昨今の夏の極端な高温や高湿度にも耐え、また冬の寒さにも強い(耐寒温度マイナス15℃)ことです。ヒートアイランド現象によって高温になる都市部でも、雪が数か月間にわたり積もる地域でも、植えっぱなしで毎年楽しめます。
■『NHK趣味の園芸』2019年7月号より

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