咲かせたあとはタネをとろう

キンギョソウ。壺形の果実の中にたくさんの小さなタネが詰まっている。撮影:田中雅也
花が咲き終わったら、タネが熟すのを待ってタネをとってみませんか? 自分でとったタネからまた花が咲けば、楽しみが何倍にもなります。広島市植物公園の島田有紀子さんに、タネとりの基本を教えてもらいました。

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■果実が褐色や黒っぽくなったら採種

お気に入りの植物を来年も咲かせたい、あるいはタネでたくさんふやしたいと思ったら、その花を十分に楽しんだあと、花がら摘みを行わず、殻(果実)が褐色もしくは黒っぽくなるのを待って、天気のよい日に殻ごととります。

■陰干ししてよく乾かす

殻に湿り気があるとカビが発生しやすくなるので、雨のかからない場所で飛ばないように広げて陰干しし、乾燥させます。殻ごと封筒や紙袋に入れてカサカサになるまで乾燥させてもよいでしょう。その後、殻をもみ、粉々になった殻とタネに軽く息を吹きかけ、軽い殻を吹き飛ばすとタネだけが残ります。小さなタネは、細かい目のふるいを使ってタネだけをふるい分けてもよいでしょう。

■発芽能力のないタネや、親と同じ花が咲かないタネもある

タネをとったものの、まいてみたら発芽しなかった、あるいは期待していた花ではなかったという経験はありませんか。残したい株の花が咲いたからといって、必ずしも受粉能力がある花粉が出るとは限りませんし、雌しべにもその能力がないことがあります。
また、種苗会社がよく販売するF₁(雑種第一代)品種は、異なる遺伝子をもつ品種や系統を交配して生まれた品種です。
そこからとったタネ(雑種第二代)は親とまったく同じ遺伝子をもっているわけではないので、親と同じ形質(花形や花色などの性質)をもつ花が咲くことはありません。
その点を承知のうえでタネをとりましょう。
※テキストでは詳しいタネのとり方、タネの保存法を紹介しています。
■『NHK趣味の園芸』2019年4月号より

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