よどみなく流れる 有元葉子さんの台所

台所を使い終わって寝る前には、すべての道具や食材を、あるべき場所に片づけ、シンク内の水滴まで拭き上げるのが有元さん流。日々続けるから、汚れがたまらず、朝を気持ちよく迎えられる。撮影:中本浩平
台所は人の暮らしの中心となる場所です。住まう人のライフスタイルやこだわりが反映され人となりや暮らしぶりだけでなく、その人、その家族の生き方までもが、かいま見えてくる。それが台所です。『NHK 趣味どきっ! 人と暮らしと、台所』では、ひとり暮らしから5人家族まで、暮らしを大切にしている8組の方々の台所を紹介しています。
料理研究家の有元葉子(ありもと・ようこ)さんの美しい台所には、よい流れをつくる小さな積み重ねがたくさんありました。

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料理をしていると、ふと手が空くほんのちょっとした間(ま)があります。例えば、鍋の湯が沸くのを待つ時間。そんな間を逃すことなく、有元さんは手をササッと動かし、ちょっとした水滴だったり、フライパンから飛んだ油だったりを拭き取っています。息をするのと同じくらい無意識に、有元さんはちょこちょこと手を動かしているのです。
だからこそ保たれる、ピカピカした美しいキッチン。「ぜひ、掃除のコツを教えてください」と依頼する取材陣に、有元さんは不思議そうに、特別な掃除法はないですよと、おっしゃいます。「大切なのは、片づけ。きちんと片づいていて、ものが外に出ていなければ、サッと拭くだけでいい。複雑な掃除はいらないの。ラクでしょう?」と。
それなら、片づけや収納の秘けつを伺おうとすると、「その前に整理よね? まず、いるかいらないかのチョイスをすることが大事だと思っています。整理、収納、片づけ、掃除をみなさん、ひっくるめて考えるから、大変になってしまうのではないかしら」。
もののチョイスをしっかりし、必要なものだけを持つのが「整理」。チョイスしたものを、使いやすい場所に収めるのが「収納」。道具を使ったら、元の収納場所に戻すことが「片づけ」、そして、すっきり片づいた場所を拭き清めるのが「掃除」。
「一度に全部を解決しようとするんじゃなく、分けて考えるといい気がします。結局のところ、整理すれば、おのずと掃除はラクになります」。すべてはつながっていて、ひとつひとつクリアされているから、有元さんの台所にはスムーズな流れが生まれるのです。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK 趣味どきっ! 人と暮らしと、台所』より

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