脱・悪手の総仕上げ

白石勇一(しらいし・ゆういち)七段が、悪手を“病気”に見立てて、“処方箋”(解決策)を伝授してくれる別冊付録「白石勇一の棋譜クリニック〜あなたの悪手、なおします!〜」。今月は「再発防止! 脱・悪手の総仕上げ(1)」。これまでの復習をしながら、より正確な状況判断を身につけましょう。

* * *

1月号の今月から最終回の3月号までは、再発防止月間とします。これまでの9回で生活指導および治療してきた内容を振り返ってみましょう。
(1)「盤上の視野狭窄」病
(2)「守り過ぎ」病
(3)「打ち込み」恐怖症
(4)「地が気になる」病
(5)「カス石を取りたい/守りたい」病
(6)「石がバラバラ」病
(7)「厚みを囲いたい」病
(8)攻めの方向音痴
(9)「決め過ぎ」病
皆さんに取り組んでもらう問題は、すべて今までに学んだものばかり。そう、復習問題です。ただ(1)と(2)と(5)の対策は、どんな問題でも必ず実行してください。もちろん、実戦でもですよ! うまくいくか、いかないかは別問題。そういう習慣をぜひ身に付けてください。
そして各問題の経過手順、出題図の状況をしっかりと把握したら、病気の特定に移ります。そうそう、病名を指摘するだけではいけませんよ。きちんと対処法、処方箋を示してください。このような流れも、実戦で意識するといいかもしれません。石があさっての方向へ行ってしまうようなことは避けられるはずです。
連載当初に宣言しました、ダイエット…。そのあとあまり触れてきませんでしたが、最近やっと本気を出しました(笑)。一日に6、7キロ、速いペースで歩いています。最終回には写真で報告できればと思っています…。

■復習問題1

経過観察(1 〜17)
五子局の立ち上がりです。白1、3に黒4と大場を目指したのは好感が持てます。白石の音がするほうにばかり目がいくうちは、本当の碁の楽しさを味わっているとは言えません(笑)。黒、立派な序盤戦です。
 ◎出題図(1〜24) 
左辺の白と上辺の白が連携したように見えたのでしょう。黒は1のボウシから黒5を選択しました。白模様ができるのを嫌っています。白は6から中央黒に照準を合わせ、攻勢に。皆さんは黒のどの手に違和感を覚えましたか?

Good ○ 正解1 状況判断ができていない
黒a(出題図黒1)と上辺白の拡大を気にしたのが、ペースを乱した原因。そのような感情は、状況判断の精度を著しく損なわせます。この局面、ポイントを弱体化した△(黒地に白三角)の補強とすれば、黒1、3が正解となります。目的を達成すれば自然に右辺が黒模様に成長します。 
Good ○ 正解2  攻め主体なら
状況判断は人それぞれ。下辺白、かなり心細い格好ですよね。ならば早速、黒1と仕掛けようと考えたっていい。白2のツケに黒3、5で白の根拠を奪い、白6には黒7から白全体への攻めをうかがいます。黒11まで、△(黒地に白三角)が攻撃に参加し、△(白地に白三角)とのカラミ攻めが実現します。

 


■『NHK囲碁講座』2019年1月号より

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