杉本昌隆七段の周りに流れる穏やかな空気

撮影:藤田浩司
講座「深浦康市の振り飛車なんてこわくない」の講師を務める深浦康市(ふかうら・こういち)九段。藤井聡太七段の師匠である杉本昌隆七段との間に、熱戦を機に自ずと芽生えた不思議な連帯感について語ってくれました。

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自分の1日制対局の最長記録は、平成9年のC2順位戦です。翌日の午前1時56分に千日手が成立。指し直し局もお互い粘り強い指し回しで午前5時45分に終局しました。20時間にも及ぶ戦いを終えて外に出ると、ひたすら日ざしがまぶしかったのを覚えています。
相手は名古屋の杉本七段で、それ以来お互い妙な連帯感を覚えるようになりました。やはり長時間粘り合っていたからでしょうか(笑)。
名古屋に2年連続で行った機会に練習将棋の申し込みをお願いしたことがありました。すると気を利かしてか弟子の藤井聡太七段を連れてきてくれたのです。
お昼ご飯は杉本さんの奥さまにお弁当を差し入れしていただきました。藤井君はお腹が減っていたのか、ご飯だけすごい勢いで食べきってしまったのです。それを杉本さんが「そんな食べ方だっけ」と言って笑います。名古屋の杉本さんの周りには穏やかな空気が流れていました。
■『NHK将棋講座』2019年1月号より

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