元肥の「熔リン」は何のため?

熔リン
植えつけやタネまきの前に施す肥料を元肥(もとごえ)といいます。果菜類には熔成(ようせい)リン肥(ぴ)を元肥として施しますが、その理由を恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんにうかがいました。

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トマトやナスなどの果菜類を育てるとき、元肥として、化成肥料とは別に熔成リン肥( 熔リン)を入れるのは、リン酸を効かせるためです。
リン酸肥料の多くは水溶性で、日本に多い火山灰土壌では、水に溶けたリン酸は土の中のアルミニウムと強く結合し、根から吸収できなくなります。
一方、熔リンに含まれるリン酸は水に溶けにくく、植物の根から出る有機酸によってゆっくりと溶け出すため、根からの吸収が容易です。ただし、熔リンは効果があらわれるまでに時間がかかります。栽培が長期にわたる果菜類でこそ、使う意味があるのです。
なお、果菜類でもエダマメやトウモロコシなどは、熔リンを入れなくてもよく実ります。また、ニンジンは、熔リンを入れることで、色がきれいに出ます。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2018年12・2019年1月号より

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