自宅に果樹園を持つ男 果樹との大らかなつき合い方

果実からは幸せをもらっていますというナイルさん。温室に実ったマンゴーを眺める。撮影:田中雅也
千葉県房総半島南部に広大な庭園をつくった有名カレー店のオーナー、G・M・ナイルさん。圧倒されるのは3500坪という広さだけでなく、150種類もの樹木ばかりという植栽、数々の大きな石像。そして、園芸のルールにとらわれない植物との自由なつき合い方だ。

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■人に見せる庭ではなく、自分が心地よい庭

荒れ地だった土地を20年ほど前から少しずつ整備していった庭園は、もともと段々畑だったという。入り口から階段を上りながら巡るつくりで、数々の樹木や果樹が出迎えてくれて、まるで植物園か果樹園のよう。ゆっくり散策すると2時間くらいあっという間に過ぎてしまう。
「子どものころに住んでいた家には、両親が植えた木がたくさんありました。木に囲まれて育ったせいか、樹木が大好きです。この庭は、和風でも洋風でもありません。樹木、石像など、好きなものを集め、僕の発想でプロデュースした“王国”です。大好きな犬たちもこの庭で過ごしています。
黄色やピンクなどの原色が好きなので、壁や柱はとてもカラフルです。落ち着きがないと思われる色づかいかもしれませんが、ここは“見せるための庭”ではなく、僕が楽しむ空間なので好きなようにつくりました」と、ナイルさんは振り返る。
本業は植物関係ではなく、カレー店のオーナー。大学生のときから本格的に店で働き始め、10年間で10日しか休まない時期もあったというほど、猛烈に働いたそうだ。70歳を過ぎた今でも店に立ち、自ら接客をしている。この庭は一生懸命働いてきた自分へのご褒美のようなものなのだろう。

■果樹とのつき合い方もナイル流 おおらかで楽しそう

「仕事を終えて家に帰り、庭のナツミカンを1つだけとって搾り、大好きな焼酎に割って飲む時間は至福の時です」と、ナイルさんは微笑む。
ナツミカンは色づいたあと、酸味が抜けるのを待って3〜5月に収穫するのがよしとされている。撮影に訪れた8月末には、緑色の今年の果実と、昨年実った黄色い果実が混在するという、柑橘の管理ではNGな状態。農業大学出身のナイルさんは、もちろん正しい管理方法は知っているが、自分が楽しむためなのだからといって気にしない。
果樹はほかにもマンゴーやキウイフルーツ、キンカン、レモン、サクランボ、カキ、プラム、ウメなどを育て、一年中何かしら収穫できるそうだ。果実を育てる魅力は花が咲いてから実が大きくなるまで長い期間眺めて楽しめること。そして味わうことだとナイルさんはいう。
「僕は基本的に果実が木から落ちてから食べます。もぐのではなく、拾うんです。だって、完熟を味わうってそういうことでしょ。例えばマンゴーは拾ったらすぐ冷蔵庫に入れます。2〜3日後に食べると、最高においしい。高級果物店のものより美味だと思います」
たしかにマンゴーは完熟して自然落果する。まさに自分で育てているからこその楽しみ方。目からウロコの収穫方法だ。
※続きはテキストでお楽しみください。
■『NHK趣味の園芸』2018年11月号より

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