「ポスト井山裕太」最先鋒の若手二人が激突

左/一力遼八段、右/本木克弥八段 撮影:小松士郎
第65回NHK杯3回戦 第1局は一力遼(いちりき・りょう)八段(黒)と本木克弥(もとき・かつや)八段(白)の若手対決となった。内藤由起子さんの観戦記から、序盤の展開を紹介する。

* * *


■半目に泣いたのは

「ポスト井山裕太」の先頭集団を走る若手二人、22歳の本木克弥八段と20歳の一力遼八段の注目の好カードだ。
記録係の小山空也三段は21歳、星合志保二段が20歳と若いのは当然としても、解説の寺山怜五段も27歳と、今回は出演者が全体的に若い。
前期、決勝まで駒を進めた一力は、最年少ながら落ち着いた雰囲気だ。
逆に落ち着かない様子なのが、寺山五段。NHK杯戦の解説は初登板だ。
控え室ではほとんどしゃべらない。解説室のカメラの前で、収録開始まで、何となくうろうろ動き続けた。対局が始まり、「両対局者はふだんからよく研究会で打っています。手の内がよく分かっている間柄」と話すと、ようやく表情が柔らかくなった。「緊張しました。打っているほうがだいぶ楽です」と言う寺山五段にも注目しよう。

■シチョウアタリ


黒番の一力遼八段は、黒7、9と二隅をシマり、すぐ黒11と三々に入った。「ヒラキのない状況での三々は、AIの影響で打たれ始めました。地を取ってなお、外勢を攻めようとしています」と解説の寺山怜五段。
白はどちらからオサえるのか、悩ましい。白12のオサエから白26までの定石は、互いに時間を使い、でき上がった。
黒はすぐに27とシチョウアタリを打ち、黒31までを決めて黒33と逃げ出した。シチョウは黒が悪いのだが、白にAとアテさせてから黒56とアテる作戦だ。
本木克弥八段は挑発に乗らず白34。ここで1図、黒1のノビなら穏やかで、白2と換わって黒55のノビに回ることができる。

一力の発想はもっと厳しかった。最強に黒35とハネ、白に36からずらずらと二線をハワせたのだ。一力は逆の立場で実戦経験がある。
本木は、白44までハッて白46とツケた。「白55のアテが普通ですが、黒に下辺に先着されるのが嫌でした」と本木。
黒が55のノビに回った。黒63には、2図の白1から3が普通だ。「白64は黒を固めてしまい、どうか」と寺山五段。

※投了までの記譜と観戦記はテキストに掲載しています。
※肩書はテキスト掲載当時のものです。
■『NHK囲碁講座』2018年2月号より

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