植物にとって光とはどういうもの?

植物の基本的な性質と管理のポイントを初歩からわかりやすくまとめる連載「いちばんやさしい園芸入門」。今回は日光と植物の関係について、樹木医の上条祐一郎(かみじょう・ゆういちろう)さんに教えていただきます。

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■1 植物ごとに適した光の強さがある

植物は、光合成により、生きていくために必要な炭水化物をつくっています。そこで、日光が不可欠です。ただ日光は強いほどよい、というわけではなく、植物の種類によって、日なた向き、半日陰向き、日陰向きのように、適した光の強さが異なっています。
これは自然界の森林などで過度の競争を避けて共存するために、階層的に高さが異なる環境にすみ分けて、その場所の光の強さに順応した体の構造になったからです。
一般に上層に生活し強い光を好む植物は、葉が小さめで枚数が多く、厚みのある葉をもつものが多くあります。一方、下層に生活し日陰を好む植物は、葉が大きく枚数が少なめで、薄めの葉をもつものが多い傾向があります。

■2 午前の光と午後の光は違う?

半日だけ日が当たる庭では、午前と午後のどちらが植物によいのでしょうか?
一般的に光合成の効率は、快晴であれば日の出とともに増加し、午前中にピークを迎えて、午後には落ち込みが見られます。夏の午後の強すぎる日射では、光合成の効率が頭打ちになるばかりか、葉焼けの原因にもなります。
また気温が高い午後の日射は、土を乾燥させるので植物に水ストレスを起こします。西日で上がった土の温度は、日没後も下がりにくく夜間の呼吸量をふやすので、体力を消耗させる原因の一つにもなります。
一般に、午前中の光のほうが植物には有益です。半日陰向きの植物は特に午後の西日を避ける、というのもこのためです。
■『NHK趣味の園芸』2017年11月号より

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