鉢植えでもできる! ブドウ栽培

ピノ・ムニエ 撮影:田中雅也
家庭で栽培するのは難しそうなイメージがあるブドウですが、じつはブドウ園のように棚を設ける必要はなく、鉢植えでも十分に収穫できます。自分で育てた果実の味わいは、やっぱり特別。収穫の日を楽しみに、挑戦してみませんか? 果樹研究家の大森直樹(おおもり・なおき)さんに、栽培のポイントを伺いました。

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ブドウは気候や土質への高い適応力があり、家庭で育てやすい果樹。ブドウ園のように水平に枝を伸ばす棚仕立てを想像しがちですが、仕立て方はほかにもいくつかあり、栽培スペースに応じて選ぶことができます。庭で育てるなら、おすすめは垂直に仕立てる垣根仕立て。海外でよく見られる仕立て方で、自宅の一角にヨーロッパのヴィンヤード(ワイン用ブドウ畑)のような風景がつくれます。鉢植えなら、3段のトレリス仕立てを。小さなスペースにぎゅっとブドウがなる様子も愛らしいものです。
上手に育てるポイントは、高温多湿の日本の気候に合った品種を選ぶこと。日本生まれのものがやはり安心です。ワイン原料としても生食でもおいしい‘マスカット・ベーリーA’、甘みが強い‘甲斐美嶺’、香りが華やかな‘竜宝’など、味や姿の好みで選びましょう。
昨今、青果店の店頭に並ぶブドウは、大粒で甘く、タネのないタイプが多くなっています。もちろんそれも魅力的ですが、多少小粒でも、酸味やタネがあっても、自分で育てればおいしさひときわ。品種ごとの個性を、果実で、ジュースで、丸ごと味わいましょう。

■農家が行う「根域制限」のメリット

果樹は根が張るほどに地上部もしっかり育ち、より多くの収穫量が望めます。にもかかわらず、農家が「根域制限」を行うのはなぜでしょう?
根には栄養分を吸収するだけでなく、樹体を支える役割もあります。しかしブドウのようなつる性の植物は、ほかの植物や支柱に支えられている場合、自ら体を支える必要がないので、大きな根域は必要ありません。適切に根域制限をすることで、根が張らない分余計な副梢の発生が抑えられ、樹勢がコントロールしやすくなります。また、水分ストレスで果実が甘くなる効果もあります。プロならではの、効率的な栽培法といえるでしょう。
■『NHK趣味の園芸』2017年11月号より

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