動画配信の覇者となったNETFLIX その成功の裏側を描いたノンフィクション
- 『NETFLIX コンテンツ帝国の野望 :GAFAを超える最強IT企業』
- ジーナ・キーティング,牧野 洋
- 新潮社
- 1,980円(税込)
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動画配信の覇者として確固たる地位を築いている「NETFLIX(ネットフリックス)」。本書『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』はそんなネットフリックスの1997年から2012年に至るまでの歴史を描いた一冊です。
最初はちっぽけな郵便DVDレンタルの会社だったところから、どのように成長し、有料会員1億4000万人という動画配信の頂点にまで上り詰めたのかが、著者ジーナ・キーティング氏の通信社記者時代の取材と本書用の独自取材によって余すところなく明かされています。
ネットフリックスのスタートアップに貢献したのは、現CEOのリード・ヘイスティングスと、ソフト会社役員であったマーク・ランドルフの二人。ヘイスティングスが地元のビデオレンタル店で延滞料金を請求されたのをきっかけに、その後のNETFLIXの本質となる「延滞料金なしで、いつまでも映画を手元に置いておける郵便DVDレンタル」というサブスクリプションモデルを思いついたといいます。
とにかく目を見張るのが、彼らの行動力やスピード性。1997年にネットフリックスを創業し、その1年後にはオンラインでの郵便DVDレンタルサービスをスタート。1999年には定額制プラン導入で顧客維持率を上げ、2003年には契約者が100万人を突破します。
こうして見ると順風満帆のようですが、その陰には、アメリカ最大手のビデオ・DVDのレンタルチェーン店Blockbuster(ブロックバスター)との非常に熾烈な争いも。本書には、ヘイスティングスがネットフリックスに掲げる使命として次の三つが出てきます。「一つ目は世界最高のエンターテインメント事業を築き上げること。二つ目は、消費者の手元に好みの映画が届くように手助けすること。三つめはライバル会社との競争に勝つこと」。最終的にブロックバスターは2010年に倒産となりますが、両者の激しい攻防は本書の見どころの一つでもあります。
その後も2007年には動画配信サービスを、2012年にはオリジナル作品の制作をスタートさせたネットフリックス。特にオリジナルコンテンツには巨額の制作費を投入し、2013年には初期のヒットドラマとなる『ハウス・オブ・カード』が生まれ、2018年には『ROMA/ローマ』がアカデミー賞を受賞したのは皆さんの記憶にも新しいところでしょう。
ネットフリックスは2015年に日本にも上陸。今ではすっかり私たちにも身近な存在となっていますが、アップルやアマゾンなどに比べると、その創業秘話についてはまだまだ知らない人も多いはず。ビジネス書としてもエンタメ書としても楽しめる一冊となっている本書。皆さんも読んで、ネットフリックスの真の姿に迫ってみてはいかがでしょうか?