インスタ、ポケモンGO、スター・ウォーズ... メガヒットの理由は"◯◯感"!?

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで
『ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで』
デレク トンプソン,柴 那典,高橋 由紀子
早川書房
2,090円(税込)
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 世間に写真共有アプリは数あれども、その中で「インスタグラム」が突出して普及し続けているのはなぜか? なぜ、ゲームアプリ「ポケモンGO」があれほどの爆発的ヒットを飛ばしたのか? 

 大ヒットにまつわるそんな数々の疑問に答えてくれるのが、今回ご紹介する書籍『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』です。

 著者のデレク・トンプソン氏は、アメリカの老舗雑誌『アトランティック』編集者。国境を越えて大ヒットとなり商業的にも成功を収めたアプリや作品を振り返り、ヒットの仕掛人および研究者に取材しまとめたのが同書です。

 トンプソン氏は、ヒットメーカーたちは「どこかなじみを覚える驚き」(同書より)を作り出す天才たちだと言います。

 たとえば、映画界においてもはや"聖典"となっている『スター・ウォーズ』しかり。『スター・ウォーズ』のように大評判を呼んだ作品の大半は、誰も思いつかないような独創的な作品ではなく、むしろ「なじみ感」に溢れたもの、つまり、誰もが知っているストーリーの王道パターンを基本にしつつ、そこにオリジナルの演出を少しだけ加えたものであると言います。

 映画ファンならずとも、日本映画『隠し砦の三悪人』や古い貴種流離譚が『スター・ウォーズ』に影響を与えていることは巷間に流布している事実ですが、同書ではヒットが巨大化した要因について、ジョージ・ルーカス監督が古今東西の様々なジャンルから定型パターンを組み合わせて脚本を執筆したことに言及。

 ヒットを世に送り出すには「なじみ感」が必須だと述べ、「読み手がすでにそう考えてはいたけれど言葉に表したことがなかった意見を、改めて鮮やかに表現してみせれば好意的に受け止められる」と考察しています。

 『スター・ウォーズ』のような往年の名画・名作から最新アプリまで、ヒット作品を生み出す原動力に迫った同書は、日々大量のコンテンツを消費する現代人にとって、非常に示唆に富んだ一冊と言えるでしょう。気になった方は、ぜひ手にとってみてはいかがでしょうか。

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