加藤ミリヤとインスタグラマーが考える「インフルエンサーの未来」とは

28
『28』
加藤 ミリヤ
ポプラ社
1,320円(税込)
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 11月28日、渋谷ブリッジ1階のカフェ「NO RAILS, NO RULES.」でトークイベント「インフルエンサーの未来についてぶっちゃける」が開催され、シンガーソングライターの加藤ミリヤさんが登場しました。

 同イベントは、雑誌『an・an』(マガジンハウス)で連載されていた加藤さんの人気作品が書籍化された小説『28 twenty eight』(ポプラ社)の「読書サロン」として行われ、著者である加藤さんと、ファッション動画マガジン『MINE』編集長の秦 亜衣梨さんが登壇。さらに参加者として、会場にはインスタグラムなどを中心に情報を発信するインフルエンサーの女性約10名が集まり、様々なトークが展開されました。

 『28 twenty eight』は、高校の同級生でありながら、生き方も性格もまったく違う28歳の女性5人が女子会を通じてそれぞれの人生に向き合っていく姿を描いた小説。一方の秦さんが手掛ける『MINE』は、「明日の自分を提案する」をコンセプトに30歳前後の女性に向けたコンテンツを配信するオリジナル動画メディアです。

 加藤さんと秦さんは、「自分自身で未来につながる旅」を計画し、その様子をシリーズで配信する『MINE』の特別企画『Future is MINE』で連載を持っていたことが縁で今回のイベントの開催に至ったそう。トークイベントはまず、本のタイトルにちなんで登壇者2人の「28歳」からスタート。

 「『28 twenty eight』に出てくる5人は、どこかが自分か自分の友達に当てはまっていて、その時に感じていた苦しさを思い出しました」とまず秦さん。それに対し加藤さんは、「『28 twenty eight』は、高校を卒業して10年が経った節目に高校時代の友人たちと再会した際の会話をもとに書いた物語なんです。キャリアアップしたかったのに結婚と出産を経験し後悔していると語る子もいれば、結婚を高らかに宣言して『ミリヤはいつまで仕事するの?』と言ってきた子もいて、それにカッチンときたり(笑)。でも、人と比べるわけじゃないけど、私は自分の人生で良かったと思えています」と語りました。

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 この日もっとも盛り上がったテーマは、「みんなの『今』は?」。イベント参加者もそれぞれ発言し、これまでの人生経験や現在の悩み、思いなどを加藤さんと秦さんに伝えました。

 「今、迷いなく生きているという方はいますか?」との秦さんからの質問に手を挙げたシングルマザーの女性は、「学生のときの方が、『周りに合わせなきゃ』と思って苦しかったです。今はいろいろな仕事の形があって楽になりました。どうしようと悩むことよりもやりたい事の方が多くて時間が足りないくらいです」と回答。

 それに対し加藤さんは「『まずは私がここにある』というメッセージをすごく感じました。お母さんになると何か諦めないといけないことがありそうだと思っていたけれど、失うことじゃなくて得ることだと考えさせられました」と感心した様子でした。

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 その後は、イベントタイトルにもあるように「インフルエンサーの未来について」を全員でトーク。ある参加者からは「現実の自分とネット上の自分に差があって、SNSがプレッシャーになるときがあります」との悩みを吐露し、多くの参加者が頷いていました。

 秦さんはこの悩みについて、「無意識に比較しちゃうんですよね。フェイクの中でフェイクの自分を比較して、その情報に縛られてしまう。インスタ上の自分とリアルの自分に差が出来て、バランスを取るのが辛いんですよね」と同調。加藤さんも「インスタが無ければいいのに、って思うときもありますよね。その時間を自分の時間に充てられていなくて、きっと失っているものもあると思うんです。120パーセント人生をエンジョイしている人なんてほんの一握りだと思います。だからこそ、こういった本や、私の曲があって、今のような語り合う時間があると思うんです」と話しました。

 そして、このテーマの最後に加藤さんは「飾ることも大切だけれど、それを洗い流したときに何が残るか、それがその人の魅力だと思うんです。今回お話を聞いて、みんなインスタを見るだけでは分からない最高な人生を歩んでいるなと思いました。たとえ葛藤や悩みでも響く人は多いと思うので、そういった部分もぜひインスタグラマーには発信してもらえたらと思います。スマホとどう向き合っていくかも含めて、みなさんには頑張っていってほしいですね」と語り、参加者にエールを送っていました。

 イベント参加者からは「登壇者の方が一方的にお話をするのではなく、私たちの話を聞いてくれるスタイルは初めてで、とても嬉しかった」「向き合って本音を語り合うのはいつもの女子会とも違って良かった」との声が聞かれました。加藤さんも「とても楽しかった!今後もやりたいですね。みんなまた会おうね~!」と挨拶し、大盛況のうちにイベントは幕を下ろしました。

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