「朝ドラ」は働く女子のカンフル剤!? 女性を熱狂させる「朝ドラ」の魅力とは

朝ドラには働く女子の本音が詰まってる (ちくま新書)
『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる (ちくま新書)』
矢部 万紀子
筑摩書房
864円(税込)
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 古くは「おしん」、近年では「あまちゃん」など、数々の流行語や社会現象を世に送り出してきたNHK連続テレビ小説、通称「朝ドラ」。現在放映中の「半分、青い。」でも、永野芽郁さん演じるヒロインの出身地、岐阜県の郷土料理「五平餅」や土産品「さるぼぼ」、井川遥さん演じる登場人物が着用した「ピンクハウス」などがSNS上で話題になるなど、その影響力は見逃せません。本書『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』では、そんな朝ドラ人気の理由を読み解き紹介しています。

 本書の中で特に言及されているのが、2011年放映の「カーネーション」。型破りなヒロインが洋裁に魅せられ起業する一生を描き、朝ドラ史上最高傑作の呼び声も高い作品ですが、著者の矢部万紀子さんは、同作における戦争描写を評価し、こんなシーンを取り上げています。

 物語も終盤に差し掛かった頃、最愛の息子を戦争で失った母親が当時を振り返り、ヒロインに述懐します。同作の中ではそれまで、ヒロインの幼馴染だった息子が、戦地から帰還後に鬱状態になってしまった様子も描かれており、母親はずっと「息子は戦争に行って余程ひどい目に遭わされたのだろう」と思い込んでいたと語ります。しかし、戦後20年が経過したある日、母親は偶然にも、当時の日本軍の行為を知り、息子が心を病んでしまった本当の理由を悟ったと述べます。

「あの子は、やったんやな。あの子が、やったんや」(本書より)

 "ヘタレ"でお人好しな若者が、赤紙1枚で召集され、否応無しに"加害者"にされてしまったこと。戦時下においては好むと好まざるとに関わらず、誰しもが被害者側に成り得ると同時に、加害者側にも容易に成り得るという、戦争の残酷さを正面から描いたドラマだったのです。

 戦後70年が過ぎ、当時に比べれば女性の地位も格段に向上した現代ですが、それでも社会や職場で、何らかの生きづらさを抱える女性も少なくないのではないでしょうか。朝ドラヒロインの奮闘ぶりから、働く女性なら誰しも共感できるエッセンスを抽出した本書を読み通せば、何かしらのヒントが見つけられるかもしれません。

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