担当編集が明かす、イラストレーター・フジモトマサルさんが書店員から愛された理由とは

二週間の休暇〈新装版〉
『二週間の休暇〈新装版〉』
フジモト マサル
講談社
1,620円(税込)
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 昨年11月、慢性骨髄性白血病のため46歳で逝去した、漫画家兼イラストレーター・フジモトマサルさん。

 代表作『ウール100%』(文化出版局刊)、『いきもののすべて』(文藝春秋刊)をはじめ、長年コンビを組んでいた歌人・穂村弘さんとの共著『にょっ記』『にょにょっ記』(いずれも文藝春秋刊)や、最近では、作家・村上春樹さんの『村上さんのところ』(新潮社刊)など、イラストや四コマ漫画を得意としていました。

 本作『二週間の休暇〈新装版〉』は、ネコやヒツジ、カワウソなど、ユーモラスに擬人化した動物を描く作風で知られているフジモトさんが、初めて人間を主人公にして描いた長編漫画。

 本作のタイトルについて、フジモトさんは生前、以下のように述べています。

「この本のタイトルはジュール・ヴェルヌの『二年間の休暇 』に対するオマージュです。
子供のときに読んだ『十五少年漂流記』の原語タイトルを直訳すると『二年間の休暇』になると知ったときの驚き。激動の遭難体験を『休暇』とするユーモア、漂う詩情、余韻があって、とにかく全面的にこちらがいいと思いました」(公式ホームページ「フジモトマサルの仕事」自作解説より)

 なお本作は、2007年に出版され、その後品切れ状態にありながら、フジモトさんの逝去を受けて先月復刊されたばかり。なんと、復刊から約1ヶ月には重版が決定したといいます。スピード重版の背景には、一部書店員さんの並々ならぬ"熱意"があったとか。

 本作担当編集の堀沢加奈さん(講談社)は、このように語ります。

「生前のフジモトさんは、書店とのお付き合いを非常に大切にされる方で、自分の本が出るたびに、手作りのPOPやオマケを持って書店回りをしていたと伺っています。そういうお人柄もあって、書店員のみなさんから非常に愛された方で、今回の復刊に際して、彼がどれほど愛されていたかを再確認することができました。たとえば、フジモト作品のみならず、フジモトさんが関わった数々の書籍を集めた特別コーナーを作ってくれるなど強力にプッシュしてくれた書店さんもありました。今回の重版は、そんな書店員さんの熱意の賜物でもあると思います」

 復刊にあたっては、本作の中に登場した占いで、"シュールだけどよく当たる"と 刊行時の特典として限定配布されるやいなや話題となったオリジナル占い「給水塔占い」も収録。ハードカーバーの愛蔵版として折に触れて何度も読み返したくなる本作は、昔からのフジモト作品のファンはもちろんですが、初めてフジモトさんの作品を知る方も読みやすい1冊となっています。


■公式ホームページ「フジモトマサルの仕事」
http://www.fujimotomasaru.jp/

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