ONE PIECE STRONG WORDS
- 『<ヴィジュアル版> ONE PIECE STRONG WORDS 上巻 (集英社新書)』
- 尾田 栄一郎,内田 樹
- 集英社
- 820円(税込)
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今年、累計発行部数2億3千万部を突破した人気漫画『ONE PIECE(ワンピース)』(集英社)。とんでもない数字ですが、さらに驚かずにいられないのが、その達成スピードです。日本の出版史上最多となる2億部を突破することで話題となったのが昨年11月。それを考えると、半年で3千万部も部数を伸ばしたということになります。
衰えることを知らない人気の理由のひとつは、読者の心にダイレクトに響くセリフの数々。そうした印象的な言葉をまとめた『ワンピース ストロング・ワーズ』(集英社)がヴィジュアル版新書として出版されました。
1巻から61巻までの第1部を総括し、その物語の中で生まれた言葉を名場面と共に綴る同書。巻末には、思想家の内田樹さんが解説を寄せています。内田さんは「このマンガのプロットは『仲間のために』というただ一言に要約することができる」とし、「50年前に『昭和残侠伝』が果たしていた教化的な役割を、今、担っているのが『ONE PIECE』」だと読み解きます。
ちなみに『昭和残侠伝』シリーズ(1965年~)とは、高倉健主演による往年のヤクザ映画でありながら、作家の三島由紀夫が激賞したことで知られています。当時の若者たちは、ひとり抗争に赴く高倉健の背中にあこがれ、セリフを空で言えるほど繰り返し見たそうです。
ヤクザ映画と海賊マンガ。作品のトーンはまったく違いますが、どこか共通点を感じる指摘です。