第84回 アフター・コロナで、みんなを元気づけてくれそうなアメコミ・ヒーロー映画のラインナップ(20年後半から22年にかけて)
映画『ワンダーウーマン 1984』より (C)2020 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & c DC Comics (C)2020 WBEI TM & c DC Comics
2002年5月3日に『スパイダーマン』がオープンニング興行成績で1億ドル突破という快挙をなしとげました。
以来5月(ないし4月下旬)というのはハリウッドにとって夏商戦の始まりであり、こうしたヒーロー映画がキックオフとなる、という流れがずっと続いてきたのです。
しかし、今年はいつもと違う5月になってしまいました。
昨年のいまごろは『アベンジャーズ/エンドゲーム』で大いにもりあがっていました。
ポップコーン片手に、ヒーローたちとまた劇場で会える日が速く戻ってきてくれる日々を祈りつつ、今日はアメコミ・ヒーロー映画の好きな方が(自分を含め)少しでも明るい気持ちになるよう、これからのアメコミ・ヒーロー映画の公開予定(いずれも全米公開予定日)およびそれにまつわる噂を、今現在わかっている範囲でまとめてみました。
主にマーベル(アベンジャーズ系)、DC(バットマン系)を中心にとりあげています。
『ワンダーウーマン 1984』(20年8月14日)
スーパーマンに匹敵するパワーを持ちながら、恋人との悲しい別れをひきづる女性ヒーロー。ポップカルチャーが花開いた1980年代を舞台に彼女の新たな冒険が始まる。
『ブラック・ウィドウ』(20年11月6日)
アベンジャーズのメンバーでもある敏腕女スパイの知られざる過去を描くスーパーアクション。スカーレット・ヨハンソンと「ミッドサマー」のフローレンス・ピューが共演。
『ザ・ニュー・ミュータンツ(原題)』(全米公開:20年8月28日)
X-MENの流れを組むミュータントの若者たちが悪霊たちと戦うヒーロー物×ホラーという異色のアクション。
『ジ・エターナルズ(原題)』(全米公開:21年2月12日)
絶大な力を持つった超人種族が人類のために立ち上がるSF神話的アドベンチャー。アンジェリーナ・ジョリーが超人の一人を演じることも話題。
『モービウス』(全米公開:21年3月19日)
スパイダーマンの強敵にして、コウモリの力を持つ吸血鬼ヒーローを主人公にした異色作。スパイダーマン登場との噂も。
『シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テンリングス』(全米公開:21年5月7日)
マーベル最強のアジア人格闘ヒーローを描くバトル・アクション。トニー・レオンがマーベル・コミックの中で人気のスーパーヴィラン。マンダリンを演じる。
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ(原題)』(全米公開:21年6月25日)
トム・ハーディが演じる、あのダーク・ヒーロー、ヴェノムが帰ってきた!マーベル史上最悪と言われる赤いヴェノムのような"カーネイジ(演じるのはウディ・ハレルソン)と激突。
『ザ・スーサイド・スクワッド(原題)』(全米公開:21年8月6日)
DCのヴィラン達がチームを組まされ強敵に挑む。マーゴット・ロビーのハーレイも登場。監督はマーベルで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を手掛けたジェームズ・ガン。
『ザ・バットマン(原題)』(全米公開:21年10月1日)
スタッフ、キャスト一新で新たなバットマン伝説がスタート。主人公を演じるのはロバート・パティンソンは歴代バットマンの中で最もスリムとも。
『スパイダーマン新作(タイトル未定)』(全米公開:21年11月5日)
トム・ホランド演じるスパイダーマンの3作目。原作コミックで人気のヴィラン。クレイブンが登場?またロバート・ダウニィJrがAIの役で復活との噂も。
『ブラック・アダム(原題)』(全米公開:21年12月22日)
ドウェイン・ジョンソンがスーパーマン級のパワーを持つダークな超人となりヒーロー軍団ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(ジャスティス・リーグではない)と戦う。
『マイティ・ソー:ラブ&サンダー』(全米公開:22年2月11日)
人気シリーズ第4弾。ナタリー・ポートマン演じるジェーンが女ソーに?またDCの「ダークナイト」シリーズのクリスチャン・ベールがヴィランで登場。
『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス(原題)』(全米公開:22年3月25日)
魔法使いヒーローが多元宇宙の恐怖に挑む。監督はホラーの巨匠で「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミ。キアヌ・リーブスがゴーストライダー役で登場との噂も。
『ブラックパンサー2(仮題)』(全米公開:22年5月6日)
アカデミー作品賞候補にもなった、黒人スーパーヒーロー第二弾。マーベルの中でも人気の海底王国アトランティスの王サブマリナ―ことネイモアが登場か?
『ザ・フラッシュ(仮題)』(全米公開:22年6月3日)
超光速ヒーローが時空を超えて繰り広げる大冒険。監督が『IT/イット』2部作のアンディ・ムスキエティだけにホラー色も出てくる?
『キャプテン・マーベル2(仮題)』 (全米公開:22年7月8日)
次のアベンジャーズ映画のリーダーとも言われる最強女性ヒーローが再降臨。「ゲーム・オブ・スローンズ」等を手掛ける女性監督ミシェル・マクラーレンがメガホンか?
『スパイダーマン:スパイダーバース2(仮題)』(全米公開:22年10月7日)
アカデミー賞をとったアニメの続編。ファン期待の巨大ロボ、東映版スパイダーマンに登場する巨大変形レオパルドンも登場?
『シャザム!2(仮題)』(全米公開:22年11月4日)
熱狂的なファンの多い、心は少年体は大人の人気魔法ヒーローが復活。ドウェイン・ジョンソン演じるブラック・アダムと激突?
『アクアマン2アクアマン2』(全米公開:22年12月16日)
豪快な、海底王国の王が新たな冒険に旅立つ。もし『ブラックパンサー2』にネイモアが登場すれば22年はマーベル、DCの海のヒーローの対決の年に!
この他にも公開日等は未定ですが
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー第3弾」(ジェームズ・ガン監督はロケットが話の中心になる、とコメント)
「アントマン3」(出演者の一人マイケル・ダグラスが近々発表ありとコメント)
「ブレイド」(マハーシャラ・アリが吸血鬼ハンターを演じる)
「スパイダーウーマン」(スパイダーマンとは関係ないですがマーベル人気の女性ヒーロー)
「マンウルフ」(スパイダーマンのコミックに登場する狼男ヒーロー)
「ソロ」(スパイダーマンのコミックに登場する傭兵ヒーロー)
「ファンタスティック・フォー」(エミリー・ブラントとジョン・クラシンスキー夫婦が、夫婦ヒーローを演じるとの噂)
などが予定されています。
ディズニーが仕掛ける、アベンジャーズ系のマーベル映画=マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は劇場公開だけではなく配信サービス<ディズニー・プラス>にてドラマ・シリーズを予定しており、20年内に『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ワンダヴィジョン』、21年に『ロキ』『What If?』『ホークアイ』、22年に『ミズ・マーベル(9月発売のスクエニのアベンジャーズのゲームにも登場)』『シーハルク(ハルクの従妹!)』『ムーンナイト』らが配信予定です。MCUは映画とこうしたドラマを連動させていきます。
DCは新たに立ち上がる<HBO max>という配信サービスを使ってJ.J.エイブラムスによる、「ジャスティス・リーグ ダーク(スーパーナチュラル系のヒーローが集合)」や、数々のDCヒーロードラマをヒットさせたグレッグ・バーランティのプロデュースで「グリーン・ランタン(一度映画化もされた、人気宇宙ヒーロー)」のドラマ・シリーズのリリースが予定されています。
DCはMCUのように映画とドラマを連動させる戦略はとらないようですが、それぞれがパラレルワールド(マルチバース)として存在しているという"裏技"を使って、次元を超えてヒーローが共演という可能性もありえます。
昨今のアメコミ・ヒーロー映画ビジネスが画期的だったのは、それぞれの映画が"つながっている"ということで、ファンを何度も映画館に通わせる習慣を作ったことです。今度は配信作品と劇場作をつなげる試み。いま人々は映画館に行けず配信で映画を楽しんでいますが、アメコミ・ヒーロー物はもう一度配信から映画館へと足を運ばせる流れを作ってくれるのではないでしょうか?
冒頭でご紹介した、2002年の『スパイダーマン』の大ヒットの背景には、その前年に911テロがあり、人々がヒーローを求めている時でした。『アイアンマン』と『ダークナイト』が公開され人気を博した2008年は金融危機の真っただ中、リーマン・ショックの年です。
これから公開されるヒーロー(映画)たちも、ウィルス禍の心の傷をきっと癒してくれるハズ。
ヒーローたちとの再会を楽しみに待ちたいです。
(文/杉山すぴ豊)