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杉山すぴ豊の、アメキャラ映画パラダイス

第82回 萌え系美少女的なキュートさが魅力!『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』

映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 3月20日(金)公開

いよいよ『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』が公開されます。
バットマンのコミックに登場する女ヴィラン、ハーレイ・クインを主役にした作品。バットマンは出てきません(笑)

ハーレイ・クインとはドキンちゃん×峰不二子みたいなキャラ(笑)
ポップでクレージーな悪女ハーレイが訳ありの女たちとチームを組んで、暗黒街の顔役ブラックマスクと戦う、痛快バイオレンス活劇です。イカれた悪党どうしの戦いですが、ハーレイは"マッドでバッド"、ブラックマスクは"サイコでイビル"という感じ。

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長い歴史を持つバットマンのコミックには魅力的な女ヴィランが多数登場しますが、ハーレイ・クインは比較的"最近"登場したキャラです。ハーレイが登場するまでバットマンの女ヴィランの代表と言えばキャットウーマン。映画『バットマン・リターンズ』ではミシェル・ファイファー、『ダークナイト・ライジング』ではアン・ハサウェイが演じていましたが、彼女の元となるキャラの、コミックでのデビューは1940年。つまり今年80周年です。

それに対しハーレイ・クインは1992年に登場。さらに興味深いのはキャットウーマンはコミック誌発なのですが、ハーレイはバットマンのアニメ・シリーズで生まれたキャラで、そこで人気が出て本家のコミック誌の方に"逆輸入"されました。だからでしょうか? ハーレイは、アニメやゲーム世代のクリエーターが作ったキャラなので萌え系美少女的キュートさがあるのです。キャットウーマンは当時のハリウッド女優をモデルにしたとされ、60年代にデビューした、これまた人気のバットマンに登場する美悪女ポインズン・アイビー(映画『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』ではユマ・サーマンが演じていた)はその頃に台頭してきた男性誌のピンナップ・ガールからインスパイヤされたそうです。時代時代の魅惑的な女性像がキャラに反映されてきたのだとしたら、ハーレイが美少女アニメやゲームの影響を受けていたとしても不思議ではないですね。

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今回の『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』ではまさに格闘ゲームのキャラのようにハーレイはアクロバチックに暴れまくり、群がる敵どもを豪快にぶちのめしていきます。
アクション・シーンが最高の映画ですが、ドラマの方はヴィランという生き方の魅力をたっぷりと教えてくれます。アメコミの場合、ヒーローVSヴィランの戦いはもちろん善VS悪の構造ではあるのですが、秩序VS混乱でもあるのです。社会に混乱をまき起こす者がヴィランであり、ヒーローは社会の秩序をとりもどそうと戦います。この映画で描かれるハーレイは自分の気持ちに正直に突っ走ってしまう人で、結果的にそれが世の中のルールやモラルとあわずしっちゃかめっちゃかにしてしまう。そういう意味でヴィランなのです。

一方ブラックマスクは、極悪人ですが暗黒街を牛耳ろうとするわけでつまり裏社会に秩序を作ろうとしています。だからなんでもかんでもひっかきまわすハーレイを嫌悪する。一方のハーレイも自分が好き勝手に生きられる街をブラックマスクに渡したくはない。だから戦う。そう『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』とはピュアなヴィランが邪悪なヒーローに挑む爽快な映画でした。ハーレイは悪党ですが、そのはちゃめちゃぶりと自由すぎる生き方にきっと癒されますよ。

(文/杉山すぴ豊)

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映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』 3月20日(金)公開
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杉山すぴ豊

アメキャラ系ライターの肩書きで、アメコミ・ヒーロー映画やSF、モンスター映画についての伝道活動を、雑誌、TV、WEB等で展開。 映画「アメイジング・スパイダーマン」「アベンジャーズ」の劇場パンフレットにも寄稿しています。映画「サラリーマンNEO劇場版(笑)」にCMクリエーター役でなぜか出演。 AOL等でもコラム展開中。
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