第73回 2019年もスパイダーマンの夏がきた! 『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』公開記念、スパイダーマンの魅力を語る!
映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 』 2019年6月28日(金)世界最速公開!
もうすぐ『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』が公開されます。スパイダーマンは宙(そら)駆けるから、夏が似合うヒーロー。スパイダーマン=夏映画として認識されたのは2002年の『スパイダーマン』(サム・ライミ監督、トビー・マグワイヤ出演)が5月3日に全米公開され大ヒット、映画史上初のオープニング3日間で1億ドル突破という偉業をなしとげたことが大きいと思います。
これにより
(1)アメリカのサマームービー商戦は5月から始まる、という考えが定着した
(2)5月の第一週の興行はスーパーヒーロー映画が公開される、
というパターンが多くなった、と言われています。
日本でもスパイダーマン映画はほぼ日米同時、または日本の方が先(今回も『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』もまさにそうです)に公開されるので初夏から夏を盛り上げるヒーローということでしょうか?
というわけでスパイダーマンは"明るく、爽快"なイメージがありますが、元々のコミックは悩める若者を描いた、ちょっとうじうじした青春ものであり、そしてキャラクター自体にホラー映画の要素を含んでいます。
蜘蛛の力を身につけた(優秀だけど)学校とかで除け者の男の子ピーターが、いろいろと悩みながらヒーローを続けていくというストーリーです。この設定がうけてマーベルを代表するヒーローとなります。興味深いのはマーベルのライバルであり、それまでスーパーヒーローの代名詞だったDCコミックのスーパーマンのアンチ・テーゼになっていることです。
まずSUPERMANとSPIDER-MANとつづりが似ている。どちらも赤と青のカラリングのコスチュームを着ている。しかし顔を堂々と出すスーパーマンに対し、悪者キャラのように顔を隠すスパイダーマン、スーパーマンは逞しい身体ですが、華奢なスパイダーマン、スーパーマンの正体であるクラーク・ケントは成人した男で一流新聞社の正社員で生活の心配はないですが、スパイダーマンことピーターはまだ青年でタブロイド紙のバイトのカメラマンでいつも生活におわれている。
スパイダーマンの生みの親の一人であるスタン・リー氏は"裏スーパーマン"として、スパイダーマンの物語を作ったのかもしれません。
映画もこのテイストを受け継いで、主人公は色々悩みます。ただそれまでのスパイダーマン映画の主人公たちが"ヒーローか自分の幸せか"に苦悩しているのに対し、最近のトム・ホランドくん演じるピーターは"早く一人前のヒーローになりたい"で葛藤しており、"悩み"が違うのも見比べてみて面白いところです。
スパイダーマンがホラー映画のキャラっぽいと書いたのは、スパイダーマンはピーターが特殊な蜘蛛に噛まれて超人になるわけですが、これは吸血鬼、ゾンビ、そして狼男パターンです。
つまり"噛まれることによって、相手と同じ存在になる"。
そもそも蜘蛛というのは、どちらかというと悪役イメージだし、ホラーな存在ですから。
そういう意味でバットマン(彼は別に蝙蝠に噛まれたわけではないですが)もイメージ的にちょっとホラーよりのキャラですね。
蝙蝠と蜘蛛というハロウィンには欠かせないような、ダークな生き物のモチーフのヒーローが人気というのも面白いです。
なおこれはある特撮ファンの方に聞いたのですが"一番最初の「仮面ライダー」(お!これはバッタがモチーフだ!)の第一話の敵が蜘蛛男で第二話の怪人が蝙蝠男だったのは、スパイダーマン、バットマンへの挑戦だったのでは"と。
これが本当だとしたら面白いですね(笑)
さて『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』はスパイダーマンがNYを離れ、ヨーロッパで活躍します。予告等でも橋を舞台にしたアクションの見せ場が紹介されています。
コミックでもスパイダーマンがロンドンに行きビッグベンや橋で戦う話があります。
こうした原作からの要素をどう活かして、どんなスパイダーマンの青春を描いてくれるか、楽しみです。
(文/杉山すぴ豊)
映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 』
2019年6月28日(金)世界最速公開!
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.spiderman-movie.jp