第71回 もうすぐ公開! 「シャザム」ってどんなヒーロー!?
映画『シャザム!』 4月19日(金)より公開
もうすぐ『シャザム!』が公開されます。少年が魔法の呪文で超人に変身する、という楽しいヒーロー物。アメコミが原作で1939年にデビューしました。( 1940年とする表記もあるのですが、初登場したWhiz Comics2号が、表紙では"1940年2月発行"だけれど、実際には39年暮れに発売されたらしく、39年デビューとする場合もあります)
38年にスーパーマン、39年にはバットマンが生まれましたから、彼らと並ぶスーパーヒーローの草分け。しかも彼らより早く41年にはもう映画化されています。
こういう言葉がきっかけで変身するヒーローというのはアメコミでは珍しいかもしれません。実は"シャザム"自体も、当初はヒーロー名ではなく、あくまでヒーローに変身するための呪文として使われていたのです。
シャザム!と少年が叫ぶと"キャプテン・マーベル"と呼ばれるヒーローになる、というのがオリジナルでした。ややこしいのがこの"キャプテン・マーベル"というのは、いまブリー・ラーソン出演で公開されている(こちらも傑作!)『キャプテン・マーベル』とは別物です。このへんの事情に触れるだけで1コラム書けてしまうので今回は割愛しますが、こういうややこしさを回避する意味でも、後にヒーロー自体もシャザムと呼ばれるようになりました。
「ひみつのアッコちゃん」を"テクマクマヤコンちゃん"と呼ぶようにしましょうみたいなことですね(笑)
シャザムは("キャプテン・マーベル"と呼ばれていた時代からも)人気があり、それと同時にシャザムというコトバ自体も、アブラカタブラ並みに有名な魔法の言葉として流通したようです。
僕がシャザムって人気があるんだなと思ったのは02年公開のサム・ライミ監督による『スパイダーマン』で、トビー・マグワイヤ演じる主人公が、蜘蛛糸発射の練習をする際、掛け声として"シャザム!"って言うんです。
さて『シャザム!』について語ると、多分50歳ぐらいの方から「ああ、指輪から巨人が出てくるやつですね」と言われることがあります。
これは60年代後半、日本でも放送されていた「大魔王シャザーン」というアメリカ製のアニメとの混同です。
「大魔王シャザーン」は後に「チキチキマシン猛レース」を手掛けるアニメ・スタジオ、ハンナ・バーベラ・プロダクションによる冒険ファンタジーアクション。
昔のアラビア世界へとタイムスリップしてしまい双子のティーンエージャー、チャックくんとナンシーちゃんが、お互いの指にはめた魔法の指輪をあわせて「出て来いシャザーン!」と叫ぶと、巨人シャザーンが現れ2人を助ける、というものです。
"アラジンと魔法のランプ"がベースでしょう。
これは私見ですが、"シャザーン"という言葉自体、すでに有名な魔法ワードとなっていたシャザムを意識していたのかもしれませんね。
(先日「アラジン」の予告を見て、ウィル・スミスのジーニーが相当インパクトあったので、この「大魔王シャザーン」もいつか映画化して欲しいものです)
映画『シャザム!』に話を戻すと、言葉(呪文)を発するだけで素敵なことが起こる、スーパーパワーが身につくというのは夢がありますが、意外にも現代の時代にマッチしたカタルシスかもしれません。
これって一種の"音声アシスタント"機能ですよね(笑)映画を観終った後、かならずシャザム!と叫びたくなりますよ。
(文/杉山すぴ豊)
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『シャザム!』
4月19日(金)より公開
監督:デビッド・F・サンドバーグ
出演:ザカリー・リーヴァイ、アッシャー・エンジェル、ジャック・ディラン・グレイザー、マーク・ストロング ほか
原題:Shazam!
2019/アメリカ
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/shazam-movie/
(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.