マーチングバンドが起こした奇跡『進行曲 マーチングボーイズ』
『進行曲 マーチングボーイズ』 10月23日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開
台湾から、ものすごい熱量を持った注目の青春映画『進行曲 マーチングボーイズ』が到着した。
舞台となるのは、エドワード・ヤン監督の傑作『牯嶺街少年殺人事件』(1991年)にも登場する台北市立建国高級中学校。日本で言えば「灘高校」のような、台湾最難関の名門男子校だ。そんなエリート街道を歩む高校生たちが、マーチングバンド部で青春を謳歌する姿を描いている。
1990年代の台北。名門校に通い、厳格な父親から医学部進学を強く期待されているジャン・ハオは、重度のプレッシャーから逃れるように、父親に内緒でマーチングバンド部へと足を踏み入れる。個性豊かな仲間たちと衝突を繰り返しながらも、音楽を通じて次第に強い絆で結ばれていくジャン・ハオたち。しかし、楽器を新調するためのアルバイトが思わぬトラブルに発展し、部は廃部の危機に直面する。青春のすべてを賭けた少年たちが、最大の逆境に立ち向かう。
実話を元に制作されたという点と実際に俳優達がスタントなしで長期間の練習をして挑んだと知り、2001年に日本で大ヒットした矢口史靖監督の映画『ウォーターボーイズ』を思い出した。実在の男子高校のシンクロ部をモデルにし、俳優陣がスタントなしで猛特訓に挑んだ熱量に既視感を感じる物が本作にも宿っている。主要キャストは全員、半年から1年半におよぶ過酷なマーチングバンドの訓練を積んで撮影に臨んだという。演奏隊もフラッグ隊も吹き替え一切なし。完全なリアル演奏だからこそ生まれる圧倒的なパフォーマンスは必見だ。
マーチングバンドには、個人の高い演奏技術はもちろん、「周囲と完璧に呼吸を合わせる調和」が求められる。1人だけが目立とうとすれば成り立たないその姿や高校生の葛藤する姿は、オーケストラを題材とした漫画『青のオーケストラ』と通ずる物があるようにおもった。なお、作中の選曲には日本の高校野球の応援歌などで耳馴染みのある楽曲が多く含まれており、日本人観客にとっても非常に感情移入しやすい構成になっている。さらに、マーチングバンドは「音楽」でありながら、動きながら複雑な隊形を組み上げる「スポーツと芸術の融合」でもある。徴兵制がある台湾では、集団行動や陣形を整える感覚が日常により身近なものであることも、この文化の背景にあるのかもしれない。
本作の魅力は「努力は全てを裏切らない」という台詞に集約されているように感じた。ラスト7分のマーチングバンドがフルで鑑賞出来るシーンでは数々のドラマがみられる。練習する姿を見ているからこそひとつひとつの技がちゃんと成功出来るのかハラハラドキドキ見守っていた。マーチングバンドを見たことない人も楽しめること間違いなし!
ぜひ劇場へ足を運んでみてください。
(文/杉本結)
『進行曲 マーチングボーイズ』
10月23日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:監督:ジャン・ルイジー(姜瑞智)
出演:ムー・セン(牧森)、リウ・ユーレン(劉育仁)、ユー・ジェエン(余杰恩)、リー・リーレン(李李仁)、マー・ジーシアン(馬志翔)、ホアン・ディーヤン(黃迪揚)
配給:メイジャー 共同配給:アクセスエー
原題:進行曲 Marchingboys
2025/台湾/117分
公式サイト:https://marchingboys.jp/
予告編:https://youtu.be/VrggrOGWdzs?si=WMQ_owLHjPyrdANG
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