伏線回収が見事な一本。『NOCEBO/ノセボ』
- 『NOCEBO/ノセボ Blu-ray&DVD [Blu-ray]』
- エヴァ・グリーン,マーク・ストロング,チャイ・フォナシエ,ビリー・ガズドン,ロルカン・フィネガン
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実際には何の効果もない偽の薬を飲んだのに、"思い込み"だけで体調が改善される「プラセボ効果」。この対義語で、薬などに対するネガティブな気持ちや不安が体調の悪化を引き起こす「ノセボ効果」という言葉をご存知ですか? この言葉がそのままタイトルになったホラー映画『NOCEBO/ノセボ』では、ノセボ効果の恐ろしさに悪魔の憑依をプラスさせた異色のストーリーに仕上がっています。監督は、『ビバリウム』のロルカン・フィネガン。
子供服のファッションデザイナーとして活躍するクリスティーン(エヴァ・グリーン)。彼女は夫フェリックスと幼い娘ボブスと素晴らしい生活を送っていました。ある日、ファッションショーを開いたクリスティーンでしたが、そこで一本の電話を受け取ります。その直後、ノミだらけの犬の幻覚を見た彼女は、首元をそのノミに噛まれてしまいます。それ以来、体調がすぐれないクリスティーン。さらには家にフィリピン出身の若い女性ダイアナがやってきます。「あなたを助けに来ました」。物忘れが激しいクリスティーンは「お手伝いさんを雇ったことをすっかり忘れていた」と感じ、ダイアナを家に招き入れますが、フェリックスは住み込みの乳母を雇ったことに猛反対。しかし、ダイアナがクリスティーンの不調を治していくことで、クリスティーンはダイアナに依存していきます。
ノミだらけの犬の幻覚がストーリーにどう関係していくのか、どうしてダイアナはクリスティーンのお手伝いに来たのか。そんなシンプルな疑問が後半に全てスッキリと明かされていく本作。「エンディングは観客任せ」的な、観た後に解説記事を漁りたくなるような作品ではなく、伏線回収をしっかり綺麗にしてくれる一本でした。また本作は、社会問題でもある「ファストファッションの闇」みたいなものに対するメッセージも含まれています。
(文/トキエス)