"精一杯生きる"を学ぶ『グッバイ、リチャード!』

　ジョニー・デップを主演に迎えたヒューマンドラマ『グッバイ、リチャード!』。『シザーハンズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『チャーリーとチョコレート工場』などでさまざまな個性的キャラクターを見事演じてきた"カメレオン俳優"であるジョニーが本作で演じるのは、ガンを宣告された大学教授です。だんだん死が近づくそのリアルで心掴まれる演技は必見。

　大学教授のリチャードは、末期の肺がんだと宣告されてしまいます。「治療をして1年、しなかったら持って半年」と言われてしまった彼は、ショックを受けFワードを連発させ池に飛び込むなど動揺した様子を見せます。そんな中、妻からは不倫をしていることを打ち明けられ、娘からは同性愛者だと告白されたリチャード。真実を告げることができなかった彼は、残りの人生を思う存分楽しむことを決意します。教壇でも、言いたいことを告げ、好きなように授業に取り組み、校内でマリファナを吸い、まるでこれまで楽しんでこなかった時間を取り戻すよう振る舞うリチャード。そんな彼が、周囲の人間に与える影響とは・・・？

"がん"というシリアスなテーマではあるものの、ただ悲しいだけのストーリーに仕上がっていないのがこの作品の素敵ポイント。ユニークに笑える部分がふんだんに盛り込まれていて、涙するところもあり、人生の教訓みたいなものを学べるところもありで、心が掴まれる一本でした。残された時間を有意義に使う彼の姿から、きっと新しいことを学べるはず。

（文／トキエス）