もやもやレビュー

"仲間と連んでいること"だけを純粋に楽しめていたあの頃はどこへ......?『mid90s ミッドナインティーズ』

mid90s ミッドナインティーズ(字幕版)
『mid90s ミッドナインティーズ(字幕版)』
サニー・ソルジック,キャサリン・ウォーターストン,ルーカス・ヘッジズ,ナケル・スミス,オーラン・プレナット,ジョナ・ヒル,ジョナ・ヒル,スコット・ロバートソン,アレックス G・スコット
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2020年に日本でも公開されるやいなや話題となった『mid90s ミッドナインティーズ』。遅まきながら観たのですが、いまではすっかり自分自身が"あの感覚"を忘れてしまっていることに気付きました。

舞台は1990年代半ばのロサンゼルス。兄のイアン、母のダブニーと暮らす13歳のスティーヴィー。力の強い兄に全く歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願います。そんなスティーヴィーがある日、街のスケートボード・ショップを訪れ、店に出入りする不良少年たちと遭遇。
プロのスケーターを目指すレイ、お調子者のファックシット、気が弱いのにスティーヴィーには強気なルーベン、無口でいつもカメラを手にしているフォースグレード。彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで近付きます。しばらくして仲間入りし、スケートボードやタバコ、ドラッグ、情事まで教えてもらうようになり......。

不良少年たちとの出会いにより世界が広がるスティーヴィー少年の青春記録が描かれているのですが、時代や国が違っても、やはり自身の学生時代をふいに思い出してしまいます。
スケートボード・ショップの店内で、フォースグレードがヤモリを飼っているといったどうでもいい話で盛り上がる場面。皆で立ち入り禁止区域に入り、注意してくる警備員をからかう場面。意味もなく、ただ皆でだべっていることだけを楽しめていた時期が、私にもあったなぁと懐かしく思うわけです。

中学、高校、大学?までは、単に誰かと連んでいる、その時間だけで満たされていた。最初に仲間に入れてもらえた時は緊張したり、トンチンカンなことを言って注目を集めたり、集団で過ごすことに心地よさを感じたり。なのに、いまでは仲のいい友人たちと過ごしていても、「もうこの飲み会帰りたい」「明日も早いからそろそろ話を終わらせよう」と、気付けば"この時間がもったいない"と感じるように。それぞれのその後について触れることなく映画を終わらせていることからも、純粋にいまを楽しめという監督からのメッセージが伝わってくるようですが、そんな風に過ごせなくなったのはいつからでしょう。これが青春を通り過ぎ、大人になった証なのか(涙)。

(文/9番)

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